7月15日(土)放送の川崎皇輝(少年忍者)主演「拝啓、奇妙なお隣さま」(夜0:00-1:00※一部地域を除く、テレビ朝日系)、8月5日(土)スタートの高橋ひかる主演「ハレーションラブ」(毎週土曜夜11:30-0:00、テレビ朝日系)で脚本を担当する若杉栞南氏にインタビューを行った。
若杉氏は、2022年9月、史上最年少22歳(※当時)で「テレビ朝日新人シナリオ大賞」第22回大賞にて最優秀賞を受賞。「テレビ朝日新人シナリオ大賞」の審査員である脚本家から“10年に一人の逸材”と評価されるなど、大きな話題を呼んできた。
そんな若杉氏のデビュー作となる単発ドラマ、そして連続ドラマ放送を目前に控えた今。若杉氏にそれぞれの作品について語ってもらった。
――「拝啓、奇妙なお隣さま」の予告動画が公開されているかと思いますが、実際にご覧になった感想は?
自分で描いていた世界と、(映像になった時では)いい意味で世界観が全然違うなと感じました。また、実際に撮影現場へお伺いさせていただいた時にも自分がドラマの脚本を書いたという実感はあったのですが、映像になり、形になったものを改めて見ると、よりドラマを書いたんだという実感が湧きました。
脚本でエンドマークを付けるのと、目で実際に映像を見るのとでは全然違っていて、自分が書いた物語に対して、感動しているのではなく、自分の作り上げてきた脚本が映像となり、形になったことにとても感動しました(笑)。
――「いい意味で違う」とおっしゃっていましたが、どういったところに一番そのことを感じたのでしょうか?
もともとの脚本だと、あるキャラクターには動いたりする設定はなかったのですが、鈴木(浩介)さんに「動きがある方が(ドラマとして)魅せられる」とご提案いただき、「動き」を付けることにしました。私が書いた作品に、俳優さんや監督さんをはじめとするプロの方の思いが重なることで、私が書いている際は、ぼやっとしか見えていなかった映像が、より鮮明になりました。
せりふ一つを取っても、私が心の中で読んでいるせりふの感じとは異なり、俳優さんたちが思いを込めてせりふを発してくれたことによって、生きたせりふ、生きた脚本にしていただいたんだなと。
自分が書いたものが自分の手の内だけではなく、いろいろな方たちがキャラクターやお話に息を吹き込んでくださったことで、作品がどんどん大きくなっていく様子に感動しました。これまでも自主制作でさまざまな作品を生み出してきましたが、今回のような感覚になったことがあまりなかったので、この体験は新鮮でした。
――受賞作を手直しすることもドラマの情報解禁時に明かされていましたが、難しかった点や気が付いたことは?
2時間尺で書いた作品を1時間尺に縮めることになったのですが、シーンを削るだけではとても縮まらなかったんです。ドラマを見ていただいた後に、2時間尺で書いていた脚本を読んでいただけると分かるのですが、登場人物を一人削っています。
人物表から削るというのは、デリートキー1つでできてしまうほど、すごく簡単ではあるのですが、脚本を書いていくと、その人物に対しても、自分の中で描いていたその人の歴史や家族もあるので、キャラクターを一人消すというのは「そんな簡単ではない…!」というとても心苦しい気持ちでいっぱいでした。
ただ、作品になった時に、必ずしもそのキャラクターを描かなければいけないかというとそうではなかったんです。作品の中でそのキャラクターを出演させないという選択肢を取ったことで、物語の中で出てきませんが、家族の中では存在する人物だったと改めて考えることができました。それにより、キャラクターを削除することに対して、苦しい気持ちは薄れていきました。
「削る=尺のためにカットすることだけではない」ということに気付けたので、2時間尺を半分の尺にするという経験をさせていただいたことは大きな学びとなりました。
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