コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、鋭い風刺の効いた漫画を描く▼LICAbambi▼こと“リカ”さんの『感受性応答せよ』をピックアップする。6月5日に本作をTwitterに投稿したところ、1.8万以上の「いいね」が寄せられるなど大きな反響を呼んだ同作。リカさんにインタビューを行ったところ、意外な創作の背景やこだわりを語ってもらうことができた。
目にはカラーコンタクトをいれて化粧をばっちりにし、アクセサリーも身につける。身支度を完璧に整えた女性は、ある日唐突に自分自身へ問いかけた。「あたしって何歳までカラコンつけるんだろう?」。服、化粧品、靴、バッグ、アクセサリー…昔ならときめいていたアイテムも、今の彼女の心を満たすことは決してなかった。むしろ、それらは今の彼女にとって虚しさを増長させるだけのモノになっていると言えるかもしれない。
そんななか彼女は珍しいことにまったく着飾らない格好で、投げやりな心のままに出かけた。高校時代からの友人と喫茶店で落ち合い、近ごろの空虚になった心の内を共有する。「ときめかない病が治らなくて」と悩みを打ち明ける彼女に、ショートカットで耳にたくさんのピアスを開けた友人は「言うて私も大概だしなあ」と共感。
彼女たちは、思えば意思表示・決意表明として真剣にファッションをやっていたと昔を振り返る。誰に媚びることもなく、「自分の思想を貫く手段」としてのファッション。しかし、いまはどうだろうか。「悪い意味で丸くなったのかも」「大体のこと自己完結で済ませてるから気持ちが内向きっていうか」「あんまりないもんね言いたいこととか」と言葉を吐き出しつつ、そうした“現代病”ともいえる呪いの落としどころを探っていくのだった。
――本作を創作したきっかけや理由があればお教えください。
本作に限らず、漫画は自分がその時思いついたこと、思い出したことに関しての疑問に
区切りをつけて忘れるために描くことが多いです。
本作も、作中の彼女たち同様に抱いている「最近色々なことに夢中になれないのはなぜか」という
虚しさに一旦区切りをつけるためのアンサーだったのだと思います。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
深く考えずに勢いで描いてしまったので…好きなところを好きなように見ていただければ。
――キャラクターたちはそれぞれに独自の感性を持っていますが、バックボーンの設定は固まっていますか。
固めていません。彼女たちが登場するストーリー漫画を描くとしたら話は別ですが、
本作を描くにあたっては彼女たちのバックボーンを知りたいという気持ちが私の中にありませんでした。
誰にとっても、作者の私にとってすら「どこかの女の子」でしかないことが重要だと思っています。
――感受性が薄れていったという彼女たちですが、年齢層でいうとどのあたりを想定していますか。
27歳以降でしょうか…?女性の人生において年相応の装いや言動を強いられることがドッと増えるタイミングがそれくらいかなと思うので。でもこれも特に決めていません。
そして、感受性が薄れるというよりは、尖っていた少女の頃と変わらない鋭敏さを今でも持っているからこそ世の中のそういった押しつけにもそれに迎合している自分にもがっかりしている子たち、というイメージです。
――キャラクターたちに、それぞれモデルとなった人物やできごとなどはありますか。
責任が生じる感じが嫌なので特定の人物をモデルにすることはほとんどありません。
しいて言うなら自分を含む周囲の女性たちと、そこで交わした会話でしょうか。
――今後の展望や目標をお教えください。
筆を折ることだけはせずにいたいと心から思います。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
目にとめてくださってありがとうございます。
今後も細々と続けて参りますので気の向く範囲でお付き合いいただければ幸いです。
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