【遺留メモ1】上川隆也「自分で思っている以上に『遺留捜査』が好きなのかも」

2017/07/13 18:05 配信

ドラマ インタビュー

「遺留捜査」で刑事・糸村聡を演じる上川隆也


――客観的には見られないと思いますが、ここまで続けてこられた要因はどこにありますか?

刑事ドラマだけを見渡しても、似ている、または同様な物語をお届けするような作品は、ないように思うんです。糸村という風変わりな男も含めて、その独自性を受け止めていただけたのかも知れません。

支店の展開はしない、評判の饅頭屋さんのような(笑)。“あそこに行かなければ食べられない”ものが珍重されるように、「このドラマでしか味わえない、何か」が「遺留捜査」にはあるのかなと思う、今日この頃です(笑)。

――変わり者というイメージが先行していますが、実は糸村はとても多才な人ですよね。

そうみたいです(笑)。今に至っても、僕にも彼のポテンシャルの天井が分からないんです。セカンドシーズンでのお話ですが「どうして突然スペイン語を喋った?」ってエピソードもありました。いまだにその理由すらつまびらかにされないまま、今回は手旗信号まで披露しています。

僕としてはもう“匙を投げた”といいますか、「もう分からなくていいや」とすら思っています。次に彼が何をやるのかを楽しみにしていればいいと。そうした意味では、視聴者の方々と同じ目線で、糸村のことを見ているのかもしれません。

――糸村に関しては、あらためてそこを描くのも野暮なのかもしれませんよね。

そうかもしれません。「糸村はそういう人だから」ということでいいと思います(笑)。

――そして、同じ作品でこうも主人公が異動するのって珍しいですよね。

糸村という人物を描く上で、場所や環境は関係ないのかも知れません。今回京都に異動して思うのは、やはりどこにいても糸村は糸村であることを、かえって色濃く描けているのではないかということです。

そこに、この番組の持つ自由度を感じます。異動の理由も気になるところですが、決して月島中央署を放逐されて異動になったのではないと思いますし、いつかカムバックするかもという可能性も残されたままです。

この後も何があるか分かりません(笑)。それに後付けのようになりますが、放映枠がこれほど移動するドラマも珍しいのではないでしょうか? しかし、そう言った判断が出来る“可能性”を、このドラマが持っている証でもあると思っています。それもまた、このドラマの“自由度”なのかも知れません。

――「相棒」や「警視庁捜査一課9係」などといったテレビ朝日の長寿刑事ドラマシリーズとはまた違った趣がありますよね。

「9係」にしろ、「科捜研の女」にしろ、もちろん「相棒」にも、僕はそれぞれに「揺るぎのなさ」を感じます。一方、わが糸村は場所も相手も問わないようですが、唯一彼にとって欠くべからざる存在なのが科捜研の村木さん(甲本雅裕)です。

今作では余計にそれを痛感させられました。糸村の無理難題に答えられる、気のいい村木さんがいるから、糸村のこだわりも生かされる。僕自身、甲本氏との芝居は、いつも予想の斜め上に落着するので、楽しみなんです。