破天荒な芸風で異彩を放ち続ける芸人・ハリウッドザコシショウ。8月5日より恒例の単独ライブツアーを行う彼も芸歴30年。「あらびき団」(TBS系)への出演を機に注目を集め、2016年の「R-1ぐらんぷり」(※現在の大会名は「R-1グランプリ」)優勝を機にブレイク。コンプライアンスが厳しいテレビについて「やりづらさを感じる」としながらも、「ギリを攻めていかなければダメだと思っている」「『ザコシも日和ったな』となるよりも、絶対に攻めていったほうがいい」と矜持を覗かせる。また直近3大会連続で務める「R-1」の審査員については、「極力目立たないようにしている」と意外なことを口にした。
――まずは、ご自身の中で人を笑わすことに目覚めた、お笑い芸人としての原体験は何だったのか教えてください。
子どもの頃、先生のモノマネをしたことが初めて人を笑わせた体験だったように思います。今振り返ってみると、その時から誇張は多少していたかもしれません(笑)。また、小学1、2年生の頃は女の子としか遊ばないナヨナヨした子どもだったんですけど、3年生のクラス替えの時に「このままじゃいけない」と決心して、陽気なキャラになったらクラスの人気者になれたことも、今に繋がっているような気がします。
――どんなお笑い芸人に憧れていましたか?
一番最初に憧れたのは(ビート)たけしさんです。そこから、ドリフターズさん、ダウンタウンさん、ウッチャンナンチャンさんと好きになっていったんですけど、一番僕の今の芸風に響いているのは、竹中直人さんです。昔放送されていたバラエティ番組「東京イエローページ」(TBS系)で、白目を向いて、よだれを垂らしながら大絶叫している竹中さんを見て、「こういうことをやりたいな」と思っていました。
――その後、お笑い芸人を志し大阪NSCに11期生として入学するわけですが、同期はケンドーコバヤシさん、陣内智則さん、中川家さんなど、粒ぞろいだったことで知られています。
あいつらは天才ですから。同じ土俵で勝負しても勝てません。なので、あいつらがやっていないことをやって目立つほうがいいと考えて、パッと振られたらすぐに出せるような短いネタやギャグで攻めていくというやり方にいき着きました。まぁ、インタビューでこういうことを言うと、ケンコバが「真面目に答えやがって」って、ラジオですぐいじってくるんです。あいつ、僕のことが好きだから僕の記事をすごいチェックしているんです(笑)。
――芸人としてのブレイクはやはり、2007年の「あらびき団」(TBS系)への出演ということになるのでしょうか?
いや、ブレイクじゃないです。だってあの時、お金、全然稼いでいなかったですもん。強いていうなら、知名度がちょっと上がったくらいです。
――そうだったんですね。
ほんとに「あらびき団」はひどいものでした。ネット配信の「あら-1グランプリ」で、第1回大会ではバターぬりえが優勝して、たしか賞金10万円くらいもらっていたんです。それで僕も、第2回大会に気合を入れて臨むわけじゃないですか。そしたら、結果的に優勝することができたんですけど、賞金は「制作費がない」という理由で、0円でした(笑)。まぁ、お世話になっているので、別にいいですけど。
――2007年に「あらびき団」で世に出てから、2016年の「R-1ぐらんぷり」(※現在の大会名は「R-1グランプリ」)で優勝するまで、9年の歳月を要しました。その間、芸風を試行錯誤していたのでしょうか?
してました。「あらびき団」の時にやっていたキャラ漫談スタイルは、登場して一秒しかウケないので、「R-1」優勝なんて絶対できるはずがありませんから。スタイルを変えようと思ったのは、「あらびき団」の地上波放送が終わり、ネット配信番組として再始動したタイミングでした。この時、著作権の関係でキャラ漫談ができなくなったんです。じゃあどうするかとなった時に、僕が単独ライブでいつもやっていて、お客さんからの評判もいい「モノマネ30連発」のコーナーで披露するネタを、番組で対応できる尺にしたことがきっかけなんです。なので、もし「あらびき団」の地上波放送が仮にあのまま続いていたら、今もずっと昔の芸風のままだったかもしれません。
――「R-1」といえば、直近開催の3大会では審査員を務めていますが。
オファーが来た時にいやらしい気持ちがわいてきたんです。審査員をやったほうが今よりもチヤホヤされて、芸人としてのランクが上がるんじゃないかって。で、実際に「R-1」の審査員をやるようになってから、昔より現場で雑に扱われなくなりました(笑)。
――「R-1」の審査員としては、真面目で的確な寸評・コメントをするとしてネット上で話題になりました。
いやいや……。たとえば、「ザコシさんどうですか?」とコメントを求められて、ずーっと僕がギャーギャー言っているだけだったら、どうですか?もう、速攻クビですよ(笑)。一回やってみたいですけど、ファイナリストのメンバーに影響が出ちゃいますから。だから、極力目立たないようにしています。だって、僕が変なことを言ってしらけてもイヤだし、かと言ってウケても違うし…。なので、「R-1」の審査員に関しては、真面目にやるほうが楽という感覚です。
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