井上祐貴、“2割り増し”での感情表現も「悠馬は学生時代の僕の理想」<何曜日に生まれたの>

2023/08/07 09:00 配信

ドラマ インタビュー

「相手はどうくるかな」と考えるのがすごく楽しい


――ちなみに、井上さんが、今思うお芝居や俳優という仕事の面白さはどのようなものですか?

現場に行ってみないとわからないこと。一人で台本を読んでいても、相手がどう演じるかわからないし、現場で生まれるものもたくさんある。だけど行く前に、一人で何とか「相手はどうくるかな」と考えるのがすごく楽しいです。でもそう思えるようになったのも最近な気がします。それまではずっとそれが怖かったんですよ。

――「現場に行ってみないとわからない」って、普通に考えたら怖く感じそうです。

はい。だから以前は「自分の中でプランを考えていかないと」と思っていたのですが、最近はそれがなくなりつつあって。それがいいことなのか悪いことなのかわからないですけど、今はその場で来たものをしっかり受けて返すのが楽しいです。

――怖くなくなったのには、何か理由やきっかけがあったのでしょうか?

「unknown」(テレビ朝日系)かもしれないですね。共演者が皆さん大先輩だったので、先輩方の現場での居方や、一つ一つのシーンに対する向き合い方を見たり聞いたりしていたら、なんかもう考えても仕方ないのかなと思うようになりました。特に田中圭さんとはバディで2人のシーンが多かったので、近くでお芝居をする中で、考え過ぎないほうがいいのかもなと感じさせてもらいました。あとは吉田鋼太郎さん。鋼太郎さんは予測もつかないことを投げてくるんですよ。だから準備していると、それに対する返しがワンテンポ遅れてしまう。その結果、よくわからないふわふわしたものを投げ返すことになってしまって。だったら、準備しないでその場で感じたことをそのまま返そうと思うようになった。それからは失敗が怖くなくなりました。

何曜日に生まれたの」でも、例えば悠馬が誰かに呼び出されるシーンがあったとして。そのときにどんな返事をするかって、悠馬は前日から考えたりしないわけじゃないですか。何を言われるかわからないんだから。すごく当たり前のことなんですけど、台本がある限り、これまではそういうことを考えちゃっていたんです。そう思うと、この新しい考え方は「unknown」の現場で学べた気がしますね。

――その学びを持って挑む「何曜日に生まれたの」の現場では、さらに学びや気付きがありそうですね。

はい。いろいろ学びたいです。

――では最後に、改めて「何曜日に生まれたの」の見どころを聞かせてください。

とにかく僕が演じる悠馬のサッカーシーンは見ていただきたいですね。すごく練習したんですよ。大事なシーンだし、その自負が僕自身にもあったので、本当に気合いを入れて撮りました。だからぜひ見てほしいですし、リアルに見れなかった方は見逃し配信などで見てもらえたらうれしいです。物語としては、さっきも言った通り、人によって捉え方が違うと思いますが、人間ドラマにミステリーにラブに、コメディ要素もあって、いろいろな要素が含まれているので、皆さんに楽しんでいただけるんじゃないかと思います。ぜひ見てください。

井上祐貴 撮影=篠田直人


◆取材・文=小林千絵