母親の瓜生梓(中島亜梨沙)と話をするうちに、いくつか疑問を持つようになった。「いつでも転校させますので」と言ったり、息子の大学進学は考えていない口振りだったり、家の中で目に付くものが高価な化粧品や服、靴など、母親のものばかりということなど。
それで九条は確信する。前回、「何でもします」と言った九条に瓜生が「お金に困っていて50万円貸してほしい」と言って騙し取ろうとした出来事があったが、それはあながちウソではないということを。
瓜生は放課後にアルバイトをして、そのアルバイト代を親の借金と家族の生活費に充てている。しかし、小さい弟たちは十分な量の食事を与えられていない。それどころか、知らない男に貢いでいるようだ。
今回も九条は瓜生に「何でもします」と言ったが、前回と同じ意味合いを持つ言葉ではなかった。ただ寄り添うだけでなく、一緒に戦い立ち向かう覚悟をもっての言葉だった。
「普段は大人をバカにし、侮辱し、尊敬も何もない態度を取るくせに、なぜ最後の最後、大人は子どもを無下にしないのだと期待できるのですか?」というきつい言葉を瓜生に言い放った九条。「我慢せずに言いたいことは言った方がいい」とも。
その場では九条に反発しながらも、瓜生は今の状況を終わらせるために何をすればいいのかを考えた。その結果、新しいアルバイト先から可能な限りアルバイト代を前借りし、そのお金で借金を返済して、負の連鎖を終わらせることに。
しかし、瓜生の願いも虚しく、母親は何も変わろうとしなかった。そんな時、九条が現れて「きちんと言えましたか? 大人はあなたの期待に応えてくれましたか?」と瓜生に問うた。そして、瓜生の代わりに母親に言いたいことを言って、瓜生にも「子どもの先輩として言わせてください」と前置きして、自分の人格の形成に影響を受けたのは“友達”だったと伝え、瓜生と仲のいい向坂(浅野竣哉)を呼び入れた。
「お金ごときで一番大切なものを失うことはない。大人になればお金の価値観は変わる」という言葉が向坂を動かした。瓜生と一緒に遊んでいる時間が一番大切。そう思う向坂は、自分のアルバイト代を渡してでも瓜生を引き留めたいと思ったのだった。
向坂の言葉に、母親は「分かった。背伸びして入った学校でいい友達ができたんだね。ちゃんと1年学校に通って卒業してきなさい」と考えを改めた様子。普通なら“これで解決”となるところだがそういうわけにはいかない。
九条の「言いたいことが全部きっちり言えましたか?」という言葉が背中を押し、瓜生は「なんで母ちゃんが許す側なんだよ。許すわけねぇだろ! なんで俺の家族じゃなくて、知らねえ男に使う金を俺が稼がなきゃいけないんだよ! 俺は一体何なんだ?」と母親を問い詰める。
許して終わりではなく「許さない」と伝えて、「一生かけて覆してみろよ。許させてみろよ!」という言葉に、瓜生の母親に対する“最後”の期待を感じた。
瓜生と向坂が鵜久森に頭を下げて謝罪。これによって一歩前進したかと思われたが1周目にはなかった“殺人予告”が。未来がどの方向に向かっているのか、今後の展開に注目したい。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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