<悪鬼>恐怖だけじゃない…“人間”を描いてきた韓国発オカルトスリラーが最後にもたらすもの

2023/08/05 11:15 配信

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キム・テリが演じる主人公“サニョン”「悪鬼」第5話より(C)2023 Disney and its related entities

「サイン」「シグナル」などで知られる脚本家キム・ウニが手掛けるドラマ「悪鬼」が7月29日の第12話で最終回を迎えた。これまで数々のヒューマンドラマやサスペンス作品を手掛け、“人間”を描いてきたキム・ウニならではの本格オカルトスリラーには、恐怖だけでないさまざまな感情が詰まっていた――。今回はクライマックスとなる11話・12話については最小限の言及にとどめ、本作の見どころを解説する。(以下、10話までのネタバレがあります)

冒頭、恐怖から始まる第1話


“悪鬼”と呼ばれる悪霊にとりつかれた女性ク・サニョン(キム・テリ)と、悪鬼を見ることができる民俗学者ヨム・へサン(オ・ジョンセ)が不審な死の真相を暴いていく「悪鬼」。第1話は、サニョンの父・ガンモ(チン・ソンギュ)の衝撃の死から始まった。

扉を叩く音に怯えるガンモ。恐る恐る扉を開けると、そこにはもう一人、ガンモが…。「扉を、開けたな?」。扉の向こうの“もう一人のガンモ”がにやりと笑うと、ガンモは憑かれたように自ら首をつった。

ガンモ自身が何者なのかも含め、まったく情報がない中で繰り広げられる衝撃のオープニングは“怖い!”の一言。その後、ガンモが悪鬼を研究していたことや、自身も悪鬼に憑かれていたことなどが分かってくる。サニョンがガンモの形見の赤い髪飾りを受け取った瞬間、同時に悪鬼をも受け継いでしまった、ということも。

「悪鬼」より(C)2023 Disney and its related entities

謎解きのスピード感に魅了される中盤戦


2話以降、ストーリーは悪鬼について何も知らないサニョンの視点で進み、謎解きサスペンスの色彩を帯びていく。

ヘサンとの出会いの後、サニョンの日常は大きく変わってしまう。周囲で次々と人が亡くなり、亡くなった人々の魂が鏡を通してサニョンにも見えるようになる。身の回りで起こることはすべてヘサンの説明の通りで、サニョンは自分に悪鬼が取り憑いたことを信じるしかなくなっていく。

「悪鬼」よりキム・テリが演じる主人公“サニョン”(C)2023 Disney and its related entities