前作でゴールデングローブ賞テレビ部門最優秀主演男優賞を受賞した、ジェレミー・アレン・ホワイトが主演を務めるドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」(原題「The Bear」)のシーズン2が7月26日に配信された。同作の舞台はアメリカ・シカゴにある小さなサンドイッチ店の「The Beef」。ニューヨークで一流シェフとして働いていた主人公・カーミー(ジェレミー・アレン・ホワイト)が、店の共同オーナーで兄の友人・リッチー(エボン・モス=バクラック)やカーミーの元で働きたく店にやってきた若手シェフ・シドニー(アイオウ・エディバリー)らと、亡き兄が遺した、借金だらけのサンドイッチ店を再生すべく奮闘する物語だ。また、アメリカでは日本よりも一足早くシーズン2が配信され、すでに批評サイトでは高評価を獲得している。(以下、ネタバレを含みます)
アメリカ・ニューヨーク州出身で現在32歳のジェレミーは、長きにわたり人気ホームドラマ「シェイムレス 俺たちに恥はない」(2011〜2021年)で、シカゴに暮らすギャラガー家の長男・リップ役で出演していたことで世に知られるようになった。10年もの間、出演していた作品が終わり、そんな彼が新たに挑戦した作品がドラマ「一流シェフのファミリーレストラン」だ。
彼が同作で演じるカーミーは、料理の腕前は一流だが、内気で新たな職場の従業員たちとうまくコミュニケーションが取れず空回りし、また前職の高級レストランの職場環境で受けたパワハラによって、心に深く傷を負ってしまっているシェフ。何かと癖が強いだけでなく、時に手に追えないレベルの横柄な態度を見せる共同オーナー・リッチーを筆頭に、個性派の料理人たちをまとめようと孤軍奮闘している最中、一流料理学校出身の若手女性シェフ・シドニーが訪ねてくるところから物語が始まる。
このドラマの魅力として真っ先に伝えたいのが、ジェレミー演じるカーミーと従業員たちがレストランの厨房内で繰り広げる会話だ。1エピソード30分ほどの中、物語の大部分が“厨房”で動いていく。主要キャラクターが料理人なので、彼らの職場である厨房が会話劇の舞台になるのも納得ではあるが、開店前の準備中の会話をはじめ、営業中、休憩中などで、ありとあらゆる衝突が厨房で起きる。
役者同士の息の合ったセリフの言い合いは、演技とは思えないほどの迫力、そしてスピード感とともに次々とセリフが溢れ出し、とんでもないカオスを画面越しから感じることができる。誰か一人がセリフを間違えようものなら、全てが崩れてしまうような会話劇を自然にこなす役者たちの演技力とその努力もすさまじい。
特にシーズン1の第7話「レビュー」では、全21分のうちの17分ほどをワンカットで撮影し、まるで数珠つなぎのように起こるハプニングによって、大混乱に陥る厨房内での臨場感溢れる会話劇が見どころ。パニック状態の中、怒り狂いながら大声でスタッフに指示を出し続けるカーミーに対し、絶望と嫌気が同時に襲いかかるシドニーの迫真の演技も必見だ。
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