――そういったところが、本作に挑む心境の変化につながったのでしょうか。
前の事務所の社長が亡くなって、(現事務所の)グランパパに移籍したことも大きかったです。自分はずっと、敷かれたレールの上の狭い世界を生きてきたのかなと思って。ありがたいことに、当たり役といわれた「海猿」をもらって、でもずっと自分自身のためにしかやってこなかった。今までいろいろな現場で、先輩の俳優や監督から教えてもらったことの点と点が、線で結びついたような気持ちでした。
前回舞台に出たときは、「お客さん観に来てくれるかな」「ちゃんとせりふ言えるかな」「今日も緊張するな」って、自分のことしか考えてなかったけど、今回は、自分がいて演出家がいて共演者がいる、皆のパフォーマンスを引き出し合って、いい作品を作って、観ている方に感動を与えたい。きれいごとに聞こえるかもしれないけど、誰かに喜んでもらいたいと思うようになりました。舞台を観に来てくれた方の人生が、少しでも良い方に転がってくれたら。
年を重ねて身体は衰えていくし、新しいものを生み出せなくなる、このまま埋もれていってしまうという恐怖感があったから、挑戦…出演料をもらって挑戦というのも失礼な話ですが、自分にとってはそういう言葉でしか表せない。どこまでできるかわからないけど、やれるところまでやると決めたんで。
――最後に、今後どんな俳優になっていきたいか、目標を教えてください。
50代までに芝居になるくらいの英語力を身につけて、世界で活躍できる俳優になりたいです。この年齢になってくると、背中でどれだけ見せられるか。俳優としてもそうですが、人としてどうあるべきかがまず大切だと先輩から学びました。
■取材・文/WEBザテレビジョン編集部
撮影/友野雄
ヘアメイク/今野富紀子
スタイリスト/根岸豪
衣裳協力/レザーシャツ¥880,000・Tシャツ¥57,200
レザーパンツ¥862,400・シューズ¥187,000
(ボッテガ・ヴェネタ ジャパン〈ボッテガ・ヴェネタ〉)
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