――宮藤作品には、世の中からはみ出した個性豊かなキャラクターが多く登場しますが、ちょっと変わった人に興味を引かれるんですか?
自分がそうだからっていうところがあるんじゃないですかね。今、ここにいるからインタビューを受けていますけど、僕は今年すでに3回職質受けています(笑)。
変な人のファンなんですよね、僕が。こういう世界にいるから変な人にいっぱい出会えるし、だからこそ自分も今こうしていられるんだと思います。変な人のアイデアが出なくなったら、たぶん引退するんじゃないかな? でも、自分の周りにはおかしな人たちがたくさんいるから、まだやれるのかなと思っています。
――池松さんは「宮藤組」初参加ですが、タッグを組んでみてどんなことを感じましたか?
全ての作品でそうだと思うんですけど、池松くんが出てくると何かこうちょっと身を乗り出して話を聞きたくなるっていうか、彼は何を考えてここにいるんだろうなって思いますよね。そこにいることが自然だし、カメラの前でうそをついていないからそう感じるんだろうなと。
作品の中の半助は傍観者。それは小説の原作者である山本周五郎の目線であり、僕の目線でもある。だから、池松くんのナチュラルでフラットな佇まいがしっくりきたし、なおかつバランス感覚が素晴らしいですよね。
――そのバランス感覚はどういうものなんですか?
例えば、このシーンで半助という人間がどこにいて、どういう顔をして、どう見ていたらいいのか、何の指示を出さなくても正解を出してくれるんです。だから、僕は何も言わないじゃないですか。その何も言わないということにも不満がない。「俺はどうすればいいですか?」が1回もないんですよ。これって、やっぱりバランスなんだろうなって感じました。
たまに僕から「ここはもう少し抑えてもらってもいいですか?」ってリクエストを出しても、すごくちゃんと聞いて調節してくれる。主演だし座長だと思うんですけど、だからって背負わなくていいというか、そういう立ち方が自然にできる方。あんなに自然でいられる人と初めて出会ったような気がします。
――「ここは仮設と呼ばれた、オレらのホーム」という作品のキャッチコピーにちなんで、宮藤さんにとっての“ホーム”とは?
恥ずかしいから言いたくないけど大人計画の公演かな。ホームだなっていうか、あんまり帰って来たくないけどしょうがねえかって感じも込みで。
劇団の公演だと、楽屋で、ホントに思ったことを全部口に出していますね。この話をしても別に怒らないだろうなっていう共通認識がある人たちと一緒にいると楽だなって思うしリラックスできます。
――最後に読者の皆さんへメッセージをお願いします。
見終わった後にこんな気分になってほしいなと思いながら、そこに向けて作りました。登場人物たちが何となく前向きに生きているんだなっていうことが伝わるといいなと思います。
◆取材・文=小池貴之
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