コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は『娘にチックがでた話』をピックアップ。
普段X(Twitter)やInstagramでエッセイ漫画を多く描かれている柿ノ種まきこさんが2023年5月25日から7回にわたり自身の実体験をもとにした漫画を投稿したところ、あわせて2.3万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、作者である柿ノ種まきこさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
作者である柿ノ種まきこさんの娘が年長さんになった頃、日常生活のなかで「んっ」と声を発するようになる。はじめのうちは頻度も少なかったものの、徐々にその頻度はあがり、家族の中でも無視できないほどになっていた。しかしチック症は4、5歳の子どもの約10~20%が発症するとも言われており、対処法を知った両親は娘をそっと見守ることにしたのだった。
そんなある日、一緒に寝ていると「んっ、んっ」と言いはじめた娘。そっと見守っていたものの、娘が自分でチックに気付いていることを知る。娘自身が気にしていることを知ったのをきっかけに念のため園や習い事など娘が関係している場所に現在の状況を伝えることにしたのだ。しかし、園では娘のいる前でチックのことについて話題を出されるなどヘコむこともあったようだ。
娘のチックとの付き合い方に悩みながらも日々を過ごす中で、チックが発症したトリガーなどに気付いていく家族。解決法がない中でもそっと娘に寄り添いながら成長を見守る様子がリアルに描かれている。
チック症を発症した娘の身に起きたことをリアルに描いた子育てエッセイに、X(Twitter)上では「うちの息子もあった」「素敵な家族」「子どもって想像以上に敏感なんだなあ」「すごく勉強になる」「こんな両親になりたい」「家族の絆を感じた」など様々な声が寄せられた。
――『娘にチックがでた話』を漫画にしようと思ったきっかけや理由についてお聞かせください。
新学期が始まったことをきっかけに娘にチックの症状が出始めました。はじめはチックだと分からず、調べてみたらチックのひとつの症状として当てはまりました。どうしたらいいんだろう?と検索魔になっていましたが、あまり経験談が見つけられず同じようにチックで戸惑う方は多いのではないかと思い漫画にしてみることにしました。
――幼少期に起こるチック症を題材にする上で、描く際に意識した点や気を付けた点などがあればお聞かせください。
出来るだけ娘に起こったことを、そのまま記すように心がけました。チックは「こうしたら治る」とかそういった明確な対処法があるものではないので、あくまでも娘の場合はこうだったという事実だけ漫画にしたいと思いました。
――本作を通して柿ノ種まきこさんが読者に伝えたかったメッセージなどがあればお聞かせください。
娘にチックが出て、はじめてチックの症状の多様さを知りました。でも調べていて思ったのは、どんなチックも「心を落ち着かせる」ための行動のひとつだということです。コーヒーを飲んだり、深呼吸をしたりするように、娘は娘のやり方で心を落ち着かせようとしています。チックを止める必要もないし、チック症状が出ている人がいても温かく見守っていきたい。そういった思いが伝わると嬉しいです。
――本作をTwitterに投稿後多くの反響があったようにお見受けします。特に印象深かったコメントなどがあればお聞かせください。
同じようにお子さんにチックが出た方からのコメントは共感する内容が多く、励みになり嬉しかったです。中でも参考になったのは、実際にチックを発症された方のコメントです。
こういう気持ちだった、周りの人の対応でこう思った、こうやったらチックが減ったなど実体験を交えたコメントは、チックで悩んでいる他のフォロワーさんにとっても参考になったようでありがたかったです。
――柿ノ種まきこさんは本作以外にもさまざまなエッセイ作品を描かれていますが、日々の出来事を漫画にしようと思うポイントや基準などがあればお聞かせください。
漫画を描きたいなと思う内容は「ねぇねぇちょっと聞いてよ〜」って感覚で伝えたい出来事がほとんどです。道端で会った知り合いと立ち話する感覚で、身の回りに起きた事などを漫画にしています。
―― 最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
片田舎に住むありふれた家族の日常や、アラフォー女である私の日常を漫画にしています。絵も文もまだまだ伝わりにくい部分があると思いますが、漫画を読んで少しでも息抜きになったり笑ってもらえたら嬉しいです。InstagramやX(Twitter)で漫画を投稿していますので、ぜひフォローをお願いいたします。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)