スティーブ・マーティン、マーティン・ショートといえば、名作コメディ映画「サボテン・ブラザース」(1986年)で共演して以来の大親友で、俳優としても大ベテラン。そんな2人に囲まれて、俳優キャリア20年といえどもセレーナが埋もれてしまわないか勝手に心配したファンも多かっただろう。それはまったくの杞憂だった。
過去に大ヒットした作品を持つ俳優のチャールズと、落ち目の舞台演出家オリバー。うぬぼれあり、おとぼけあり、そしてヘタレな2人に、メイベルは時に辛辣なツッコミをしたり、推理をリードしたり。
セレーナは、おしゃれなファッションをまとって華やかさを出すだけでなく、“トリオ”の一翼を担って物語にスパイスを与える。
シーズン1では、3人で夢中になって謎を追い始めるが、それぞれが抱えるものが影を落とし、やがて自分たちの中に殺人犯がいるかもしれないと疑う展開に。セレーナは、のちに大きな鍵となる、言い出せない秘密がある様子を丁寧に演じた。
そしてシーズン2は、3人が殺人の重要参考人で連行される衝撃の幕開け。ただ、疑われてだまっていられないのが実録犯罪番組マニア。再び謎を追うことになるのだが、3人のいつのまにか笑える会話のテンポはさらにパワーアップしている。
そんななか、メイベルのアイデンティティにも迫る。殺人の第一発見者としてそのシーンがフラッシュバックする苦しみを抱えながら、アーティストのアリス(カーラ・デルヴィーニュ)と恋に落ち、また過去とも向き合う。
セレーナは、もがき、揺れ動く心を成熟した深みのある演技で魅せるのである。そしてそれが大ベテランの演技と呼応し、物語を面白くする。
さて、「マーダーズ・イン・ビルディング」は、8月8日より第1話・第2話同時配信でシーズン3がスタートした。
新シーズンには、オスカー名優メリル・ストリープが出演。セレーナは自身のInstagramで「とても、とても素晴らしい女性」「尊敬し、愛する女性」とつづっている。そのメリルが演じるのは、なんと“売れない”女優。2人がどう絡んでいくのか楽しみだ。
「マーダーズ・イン・ビルディング」シーズン3最新話は、毎週火曜にディズニープラスで独占配信される。
◆文=ザテレビジョンドラマ部
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