コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、漫画家・江野朱美さんによる『アフターゴッド』をピックアップ。
マンガワン(小学館)にて連載中の本作は、“ある目的”をもって神々の元を訪れる謎の少女の物語を壮大なスケールで描き話題を集めている。作者が2021年12月10日にX(旧Twitter)に第1話を投稿したところ7.6万以上の「いいね」、2023年6月23日に再投稿し2.6万の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では江野朱美さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
日本が“神”と呼ばれる巨大生命体に侵攻されて30年。多くの都市で街の景色が一変し、政府は神の居場所を次々と危険区域に指定していった。すると、ネットやSNS上で「神の与える死に苦しみはない」「神は美しくて見ただけで幸せになる」という迷信が蔓延り、危険区域には多くの自殺志願者が訪れるようになっていた。
ある日の東京。“神”を調査している研究員・時永倖行が街をパトロールをしていると、危険区域内を覗く謎の少女・神蔵和花を見かける。黒いサングラスを掛けた和花は、行方不明になった親友・しをんを探すために上京したと明かす。その無防備な姿を心配した時永は、神に遭遇したときのため目と口を隠せる不思議な面を無理やり装着させた。
そんな中、自らを“神の部下”だと名乗る女・宇月よんに声をかけられ、時永と別れて話を聞くことに。「神様に会わせてあげる」という宇月の言葉を信じて仲間に入る決意をした和花だったが、入団テストとして時永を殺すよう命令されてしまう。
和花はそれに応える仕草を見せるも、直前で裏切り、瞬時に宇月の首を紐で絞める。激しい攻防の末、顔に致命的な傷を負いながらも立ち上がった和花。しかし、面が外れたその顔はなぜか無傷で、さらに和花の“瞳”があらわになった瞬間、不思議なことが起こって…。
神と同じ力を持つ謎の少女・和花と、神を研究しその撲滅を目指す研究員・時永を軸とした物語が描かれる本作。冒頭から読者を圧倒する美しくて恐ろしい“神”の繊細なビジュアルや先の読めない展開も話題を集め、X(旧Twitter)上では「めっちゃ好き」「圧倒される」「凄まじいストーリー」「率直に言って最高」「一目惚れした」「ウィズアポカリプスな世界観もかっこいい」「アフターゴッド最強!!」などのコメントが寄せられ、大きな反響を呼んでいる。
――『アフターゴッド』はどのような発想から生まれたのでしょうか。創作のきっかけや理由があればお教え下さい。
今作品のテーマはセンシティブな側面もあり、あえて明言しないでおこうと思うので、どのようにテーマを決めたかについて回答します。私は前の作品でやったテーマとは違うものを、次の作品で描こうと思っています。「このテーマで描きたい」と思ったことはその作品内でできるだけ、全て出すようにしています。
前作がわりと筋骨隆々な主人公と性的なテーマを含んでいたので、前作で描けなかったり、掬い上げられなかったテーマとキャラクターを動かそうと思い、今作を考えました。
――謎の少女・神蔵和花と神を調査する研究員・時永倖行、それぞれのキャラクターや設定はどのように生み出されたのでしょうか?
前作が悪人に見える人ばかりだったので、善人に見えることを強調したキャラクターを描こうと思いました。キャラクター設定は「〇〇である」より「〇〇そうに見える」と設定した方が、その理由付けをする必要が発生し、結果、設定を深くできるのでおすすめです。
――物語のキーとなる“神”は、美しさと恐ろしさを兼ね備えたその容姿や特徴ある瞳の表現がとても印象的でした。神のビジュアルを生み出す際、特に意識した点やこだわった点があればお教えください。
今作の神はいわゆる野生動物ですが、人前だと野生動物なりにおしゃれをしています。人間にとって神々しい見た目をしているけど、実際やっていることは俗っぽいという面を出したいと思いました。
――その他に本作を描くうえで特にこだわっている点や「ここを見てほしい」というポイントがありましたらお教えください。
猫を描くのがちょっとずつですが上達しています。いっぱい猫がでるので、猫を見てください。
――本作の中で江野朱美さんにとって特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
どの作品でもそうですが、第一話というのは作品の中で一番人の目に触れる話になります。Tシャツにしたいようなページや絵を、第一話では意識的に多めに描きました。内容を忘れてもその絵だけ覚えてもらったら、いつかまた思い出してもらえると思うからです。
――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へ、メッセージをお願いします。
これからも猫はいっぱい出てきます。猫がいる時、人は死なないので安心して読んでほしいです。
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