コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回はもうひとりの自分と実家で出くわす漫画『おかえり陽子』をピックアップ。
作者のフナヤマヤスアキさんが5月16日に自身のX(旧Twitter)に作品を投稿したところ、2.6万以上の「いいね」が寄せられ反響を呼んだ。この記事では、フナヤマヤスアキさんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。
ある日、ある女性・陽子が実家に帰るとそこには自分とそっくりの人間が食卓を囲んでいた。戸惑いながらもただいま…と声をかけると、もうひとりの自分が家族用ロボットのカゾクロイドであることを告げられる。父の会社で開発中の試作品であり、試運転中だと言う。
違和感を持ちつつも一緒にご飯を食べ、お風呂に入るともうひとりの自分がベッドに横たわっている。「なんで寝てるの…」と聞くも、何食わぬ顔で「だって私の部屋だもの」と言いはるもうひとりの自分。
無性に感情を抑えることのできなくなった陽子は狂気迫る顔でもうひとりの自分の首に手をかけてしまい…
カゾクロイドの実証実験で起こったゾクゾクする展開が4ページにまとめられた本作。最後のコマで分かるまさかの真実にネット上では「素晴らしいショートSF」「髪の分け目で追って初めて意味が分かった」「背中がムズムズする」「なんか切ない」などさまざまなコメントが集まっている。
――『おかえり陽子』を描こうと思ったきっかけや理由があればお聞かせください。
毎年仙台で開催される同人誌即売会「みちのくコミティア」というイベントに参加すべく、友人らと「駅前グラスホッパー」というサークルを結成し、その同人誌に“4ページのSF短編を描く”という事がきっかけで描きました。
元々、実家に帰ったら知らない誰かが家族と親しくしている…というネタがあり、同人誌のテーマがSFだったのでロボが出てくる物語にしました。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
「自分がロボットだった」というオチに至るまでの陽子の感情表現です。
嫌悪感→怒り→手をかけるという感情の段階を短いページの中でどういうシチュエーションで表現するか。あとは、髪の毛の分け目でどっちの陽子なのか分かるようにしています。
―― フナヤマヤスアキさんにとって本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?
最後のシーンは少し優しさが残る印象にしたかったので、思い入れがあります。
お気に入りのセリフは「だって私の部屋だもの」というセリフです。思い出が詰まっている自分の部屋に帰ってきた陽子に対して、一番マウントをとれる言葉は何だろうと考えました。
――普段、作品を描くうえでネタ(ストーリー)はどのようなところから着想を得ているのでしょうか?
これと言ってハッキリしたものは無いのですが、普段自分が感じている事・言いたい事・経験した事など、モヤモヤしたフラストレーションが溜まってきたら、それが土台になって、あとは自分の好きな映画・本・番組・音楽など、いろいろな要素で肉付けしていくような感覚でネタを作っています。それを実際に漫画化したらどうなるんだろう…と、頭の中でイメージの芽が膨らんできたら、キャラクターやイメージイラストを描いて育てていくような作業になります。
――フナヤマヤスアキさんの今後の展望や目標をお聞かせください。
「漫画や絵を描いてお金をもらう」という事にずっと憧れを持っていたので、新しいマンガの連載を始めたり、単行本を出したりしたいという事が目標です。余裕があれば同人活動やSNSでも作品発表できればと思っています。
―― 最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。
漫画家と名乗るにはまだまだ実績や自信も足りないと自負していますが、モチベーションが続く限り何かしら作品を発表していきたいと思っていますので、それを楽しんでもらえたら嬉しいです。
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