バイきんぐ「進んでいる方向が違うだけ」結成27年、“ロケは共演NG”だが解散危機も乗り越えてきたコンビの独特な関係

2023/08/26 10:00 配信

芸能一般 インタビュー

単独ライブ「爆音」を開催するバイきんぐ撮影=小島浩平

お笑いコンビ・バイきんぐ(小峠英二西村瑞樹)の単独ライブ「爆音」が、9月2日、3日に東京・日経ホール、9日・10日に東京・日本教育会館一ツ橋ホールで開催される。2008年3月開催の初単独ライブ「鬼火」から数え、今回13度目の単独ライブ。長年同コンビのネタを執筆する小峠は、「尺の長いコントはやらない」「ネタは6分~7分がちょうどいい」と、コント師としての独自のこだわりを語る。またコンビ結成から今年で27年。西村は解散を考えたことが「3~4回ほどあった」と告白。それでも踏みとどまった理由について尋ねると、小峠は、それぞれが「解散したい」と思い詰めることはあったものの、「そのバイオリズムがたまたまズレていた」と、独特な表現で長続きの秘訣を明かした。

昔は4分、今は7分…コントの時間配分にこだわり


――今年も毎夏恒例の単独ライブが開催されます。今年はコンビとして初の2週連続にわたる計4公演での開催となりますが、公演数を増やした理由は何でしょうか?

小峠:2008年の初単独ライブからだんだんと会場のキャパが大きくなり、前回は1000人弱規模のところでやったんです。でも、コントをやるには広過ぎて、後ろのほうのお客さんは僕らの表情や手の動き、小道具などが見えていないんじゃないかと思って。そうなると、こっちが表現しているものを100%伝えることはできない。それは申し訳ないし、違うんじゃないかとなって、今回はもう少しキャパを小さくして、その分、公演数を増やしたんです。

――ネタは毎回、小峠さんが書いているそうですが、ネタを書く上でのこだわりを教えてください。

小峠:「尺の長いコント」をやらないことです。ネタを作家と相談しながら書くこともあるんですけど、その時によく、「これ、何分くらいあると思う?」と確認しています。僕的には、6分~7分がちょうどいいんです。世に出る前までは、「キングオブコント」も「オンエアバトル」も事務所ライブも、全部ネタ時間4分だったから、4分尺のネタしか考えていませんでした。それが「キングオブコント」優勝後くらいからだんだんと長くなっていき、今は7分前後がしっくりくるようになりました。ただ今回の単独では、10分くらいの今までで一番長くなりそうなネタができて、これをどうしようか悩んでいます。

――西村さんは、ネタが何分でも構いませんか?

西村:10分だと正直、「セリフ、多いのかな…」と少し身構えてしまいます(笑)。身体が慣れているのは、昔からやっていた4~5分のネタです。

小峠:人のネタを見ていて、10分って長いと思わない? 俺、YouTubeで人のネタを見る時に、サムネで「10分」って表示されたら「ちょっと長いな」って感じちゃう。

西村:あ~、わかるわかる、「10分もあるのか~」とは思う。

小峠:ただいままで1回もそれくらい長いネタをやったことがないから、経験としてやってみるのはありかも。いずれにしても、今回考えている長いネタは多少削ったとしても、おそらく今までで最長のコントになるでしょう。

――2012年に「キングオブコント」で優勝してから11年が経ちました。浮き沈みが激しいお笑い界において、バイきんぐが生き残り続けている要因は何だと思いますか?

小峠:「キングオブコント」に優勝した直後、今も一緒に番組を作っているディレクターさんと飲みに行った時に、「小峠くん、一つひとつの仕事を丁寧にね」と言われたことがあって。その方は「嫌な番組もあるかもしれないけど、そこのスタッフさんはほかの番組もやっていて、手を抜いたりしたらすぐに悪い噂が広まるから」と教えてくれたんです。それを聞いて「なるほど」と思い、それ以来ずっと「一つひとつの仕事を丁寧に」を意識しています。もちろん、しんどいこともありますけど、そんな時はその言葉を思い出して、「ちゃんとやらないと」と襟を正したりもしています。だから、世に出て最初の頃にその言葉を聞けて良かったなと思います。

――西村さんは、キャンプ芸人としてフィーチャーされるまで、“じゃないほう芸人”とされていましたよね。

西村:いや、今もです。僕は“じゃないほう芸人”の筆頭ですよ(笑)。どれだけ僕が一人で頑張ろうとも、小峠は一人でMCをやったり、色んな番組に出たりとそれ以上に活躍するものだから、この差は埋まらない。追いつけない格差があります。

小峠:いや、格差とかじゃないよ!進んでる方向が違うだけだから(笑)。

撮影=小島浩平