北原里英「仕事と結婚を天秤に…」働く女性の葛藤を語る

北原里英撮影:山田健史

実体験のない章が一番難しかった


――父親との複雑な関係を描いた、柚子がメインの章もすごくリアルだと感じました。

そこは一番難しかったです。なぜなら、私は大円満のハッピー家庭出身なので(笑)、家族のトラブルって想像するしかなかったんですよね。私は会社に行ったこともないので、会社の場面を書くにも部長と課長の序列も分からないくらいでした。実体験が何もないような章なので、リアルと言ってもらえてすごくうれしいです。

――現段階で、次回作の構想はあるのでしょうか?

実は書きたい題材が一つあるのですが、今回のように書き上げるのに2年掛かるかもしれないし、2年後は今とブームが変わっているかもしれないな、と思ったりもしています。今後も書けるかどうかは私にも分かりませんが、達成感はあったし楽しかったので、もしもう一度チャンスがあるのならまた書きたいですね。

北原里英撮影:山田健史


“シェアハウスあるある”も小説の中に登場


――今作は北原さんのシェアハウスの経験を生かしたということですが、“シェアハウスあるある”のようなものは何かありますか?

「テラスハウス」に住んでいた時にごみ出しで揉めたのですが、その体験は小説の中にも入れていて、ほぼ実話です(笑)。当時はすごく忙しかったので、「申し訳ないな」と思いながらもごみ出しを全然やっていなかったんです。「テラスハウス」って6人で住むので、たくさんごみが出るんですよ。朝、ごみを出しそびれると溜まっていくので、役割をちゃんと決めるため会議になりました。

――結婚もある意味シェアハウスの一種だと思いますが、ご家庭では家事の分担をどうされていますか?

うちは「忙しくない方がやる」というスタイルを今のところ取っています。ただ、食事に関しては私が作って、食器洗いは旦那さんがやってくれるんです。洗濯は基本、暇な方がやりますね。

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