コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、漫画「あことバンビ」「堀さんと宮村くん」の作者・HEROさんが描く漫画「うたかた仰ぐ」。
作者であるHEROさんが8月11日にX(旧Twitter)に本作を投稿したところ、3万件を超える「いいね」が寄せられた。本記事ではHEROさんに、作品のこだわりなどについてインタビューをおこなった。
主人公・葛城は教育実習生としてとある学校に赴任している。ある日の授業中、葛城は生駒という生徒を名指しして問題を出す。
当てられた生駒は問題を解いたのだが、周りの生徒の様子がおかしい。実は生駒は交通事故で最近亡くなった生徒だったのだ。教育実習生として自信が持てない葛城と、事故死した日から時が止まっている生駒。2人は持ちつ持たれつ、不思議な学校生活を送るのだった。
この作品を作者・HEROさんがX(旧Twitter )に投稿したところ、「すごく切なくてあったかくて心がギュッとしました」「癒された」「澄んだ空気と温かさを併せ持つ作品」「ちょっと仄暗くて優しくて、とっても心が落ち着きます」などのコメントが多数寄せられている。
――「うたかた仰ぐ」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
教育実習生を題材にした漫画のネームを、描きかけでずっと放置していました。最近はSNSに漫画を投稿しているので、どうせならSNS用に短くまとめて仕上げてみようと思いました。
――本作を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。
人と関わることが少し苦手な2人が、 お互い徐々に歩み寄っていくところです。 また「教育実習」という限られた期間の中で、幽霊の生駒が感じる焦りや寂しさも大事にしました。
――本作の中で特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
「(先生になるのは)約束できない」とまるで突き放したような言い方をしたのに学校に戻ってきた葛城に対し、嬉しさよりもまず「あの日の言葉の冷たさ」を思い出した生駒の表情です。大人ならば夢が叶った人を明るく迎え入れると思いましたが、彼はまだこどもなのでそういったものはもっとあとから来るのではと。
――幽霊の生駒くんからは、クールな中にも幼さと悲しみが垣間見えました。本作のキャラクターを創作するうえでこだわった点などがあればお教えください。
まさに、生駒には幼さと甘えが残るようにしました。葛城はとにかく頼りない実習生にしたくて、でも生駒にとってはどこかよりどころを感じる大人になればいいなと。
――本作や「うつつの影とレプリカ」「あことバンビ」など、幽霊や死をテーマにした優しい作品を多く描いていらっしゃいますが、理由があればお教えください。
日常漫画のどこかにそういった要素を入れるのは、自分の良いところでも悪いところでもあると感じています。「幽霊」という不自由さを話に取り込むと、途端に「人間」の自由さや生命力が際立ち、それだけで話が描きやすくなるからです。ただ、単純にホラー作品も好きでよく見るので、自分にとって「幽霊」がとても身近に感じられるものだからというのもあるかもしれません。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。
いつも作品を読んで頂き本当にありがとうございます。DMやリプライ、SNSのコメントでご感想を頂くたびに「描いてよかったな」と思います。山も谷もない話ばかりですが、眠れない夜などにちらりと読んで頂けると幸いです。
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