しかし、幼い頃から家族に虐げられてきた美世のトラウマは予想以上に深いものであった。息を殺すように生きてきた彼女にとって、自分の感情をさらけ出すことはそう容易いことではない。「ここで本当に甘えてしまったら、久堂家の奥様にきっとなれない」と、淑女になるための勉強にまい進する美世。
悪夢に加え、そんなプレッシャーもあってか、美世はどんどんやつれていく。その矢先に清霞を訪ねてきたのが鶴木だ。鶴木は美世の顔色の悪さを見て、「彼はあなたの本当の価値を分かっていない」と清霞に対する苦言をぶつける。美世が清霞をかばうと、鶴木は「俺はあなたにあなただけの役割をあげられます」と自分の名刺を彼女に渡して帰っていった。
その後、宮内庁からオクツキの掃討作戦の許可が出たことを清霞に告げにいく鶴木。帰りしな、彼は清霞に「あなたには美世さんが見えていないのでは?」とその心を揺さぶる。清霞は鶴木に聞かされるまで、美世が街中で倒れて彼に助けられたことを知らなかったのである。
さらに帰宅すると、清霞は台所で自分のために夕飯を作る美世の姿を目撃。そのあまりにやつれた姿を見て、清霞は美世に「そんなに私が信用ならないか」と詰め寄る。そして、いつまで経っても自分を頼ってくれないことに苛立ちを隠せず、「こんなことならお前に勉強の機会を与えるのではなかった」という言葉で思わず美世を傷つけてしまうのだった。
ショックのあまり再び倒れてしまった美世を連れ、悪夢の原因を探りにいく清霞。美世の母・澄美(日高のり子)の姓が“鶴木”で戸籍登録されていた可能性も浮上した第9話に、SNSでは「お互い思ってるのにすれ違うの辛いな」「美世の気持ちも清霞の気持ちもわかる」「美世を気にかけ励ます葉月は内面も素晴らしい淑女でした」「傷心の美世の心につけ込んでこないか、鶴木の動きも気になる」といったコメントが並んだ。
■文/苫とり子
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