全世界の「スター・ウォーズ」ファン待望の最新ドラマシリーズ「スター・ウォーズ:アソーカ」が8月23日から配信されている。今回のストーリーは、アニメーションシリーズ「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」で初登場を果たし、アナキン・スカイウォーカーの唯一の弟子としてジェダイの道を歩んだ、伝説の戦士アソーカ・タノが銀河を駆け巡る物語。追放者、反乱者、そして“元ジェダイ”…壮絶な道を生き抜いたアソーカの、“その後”が描かれる。このアソーカに扮(ふん)している人物こそ、押しも押されもせぬ大物女優のロザリオ・ドーソンだ。今回は本作の見どころ、そしてロザリオについて音楽をはじめ幅広いエンタメに精通するフリージャーナリスト・原田和典氏が紹介する。(以下、ネタバレを含みます)
「スターウォーズ:アソーカ」は本稿執筆時点で第3話まで配信されているのだが、「アソーカ、クールでかっこいいなあ。すごい落ち着きだなあ」と思って見入ってしまった。「元ジェダイであり、スローン大提督を知る女」「人を助けるために放浪する」「次の戦争を防ぐ」というキャラクター設定は頼もしく、決して多くをしゃべるタイプではないものの、その言動は「必要最小限の言葉で、最大限の効果を上げる」といった印象。
スピードマニアで動物好きなサビーヌ・レン(ナターシャ・リュー・ボルディッゾ)とのコントラストはまさに“静”と“動”のそれそのものだし、久しぶりに会った“将軍”ヘラ・シンドゥーラ(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)とのやりとりも見どころの一つだ。今後、ストーリーが進展していくにつれ、主人公アソーカの出番はさらに増え、彼女を軸にした曼荼羅が目の前に差し出されることだろう。
そんなアソーカを演じるロザリオ・ドーソンは、9月1日に日本公開された映画「ホーンテッドマンション」でもメインキャスト級で出演。ほか、日本上映されたものに限定しても「RENT/レント」「白い沈黙」「インフェクション/感染」「7つの贈り物」「ニュースの天才」「メン・イン・ブラック2」といった映画に登場、芸域もミステリー、サスペンスからミュージカルまで幅広い。
映画制作の現場では「ロザリオに任せておけば安心」という空気もあるのではないか、そう私は勝手に思っている。アソーカというキャラを実写で演じるにあたって、ロザリオは毎日2時間のトレーニング(もちろんその密度は尋常なものではないはずだ)を行い、物語の中に入り込んで「これは現実なのだろうか?」と思いながら撮影に臨んだらしい。身も心もアソーカにのめりこんでいたのだろう。
デビューは1995年、16歳の時に公開された「KIDS/キッズ」。家の前に座っていたところをスカウトされて出演につながったという逸話もある、ある意味とてつもない幸運なキッドだったわけだが、その後、本格的な俳優になるべくハリウッドの名門校であるリー・ストラスバーグ演劇学校(マリリン・モンロー、マット・ディロン、アンジェリーナ・ジョリーなどを輩出)で学んだ。
中でも「RENT/レント」のミミ役は、舞台版で同役を務めたダフネ・ルービン=ヴェガの後任(妊娠で出演辞退)として急きょ抜てきされたにもかかわらず好評を博し、サテライト賞(アカデミー賞の前哨戦にも数えられる)の映画部門・助演女優賞を受賞した。
日本ではまだまだ「大物度」が伝わっていない気もするが、アメリカでは役者としてはもちろん、政治への関わりや慈善活動などにおいても大きな注目を集めているロザリオ。海外での記事をいくつか見たが、その凛々しさ、言い換えれば「筋を通す」的なところは、十分にアソーカと通じるものがありそうだ。
そのあたりも知り尽くした上で、デーブ・フィローニ監督がロザリオをキャスティングしたのだとしたら、それはもう、あまりの卓見に「まいりました!」と言うしかない。“二刀流”でライトセーバーを使いこなす彼女のアクションにも注目して、後半戦の配信も楽しみに待ちたい。
「スター・ウォーズ:アソーカ」は、毎週水曜にディズニープラスで独占配信中(全8話)。
◆文=原田和典
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