ミュージカル界のプリンス・井上芳雄が、2017年4月からTBSラジオ「井上芳雄 by MYSELF」(毎週日曜夜10:00)で、初めての冠ラジオ番組に挑戦している。「できる限り生放送で」という決意の下、“シークレット・コンサート”をうたうとおり、毎週生歌2曲を披露する奮闘ぶり。時にはゲストとの競演でも聴かせる。そしてトークのバックではピアニスト・大貫祐一郎による生演奏が。そんなエンターテインメントショーを繰り広げる井上芳雄に、ラジオスタジオで話を聞いた。
――まず、レギュラー番組がスタートして3か月の感想を教えてください。
「スタートする前に思っていた通りのことができていて、そのコンセプトからぶれていないので予定通りではあるんですが、非常に濃い3か月でしたね。自分ではもっと長い期間、半年から1年くらい続けているような気がします。1週間がすぐに過ぎてしまって、毎回2曲を歌うと決めているんですが、その選曲が大変。『あ、また次回の曲を決めなきゃ』と、追われている感じです。聞いてくれる皆さんが喜んでくれて、手応えもあるので、ラジオはとても楽しいです」
――生放送のほうがやりやすいとおっしゃっているそうですね。
「単純に生に慣れているということかもしれませんが、最初の頃は『話すことがなくなったらどうしよう』などと考えて、予め内容を用意していたんです。でも、直前に少し考えるくらいでいける、と思うようになって。用意したから面白くなるかというと、それは別問題ですしね。日曜夜という放送時間帯は意識しています。休日が終わり新しい週が始まる前夜って気が重いじゃないですか。曲を含めて、少しでも気晴らしになって、明日に希望を持てる内容にしたいと思いますね」
――周りの方の反応や、それに対して思うことを聞かせてください。
「番組を聞いてくれた方からは『すごく楽しそうだね』と言われます。ディレクターがいて、大貫さんがいて、笑いながらやっているうちに30分が終わっている。毎週、取り繕う余裕もないというか、その必要もない感じでしょうか。毎週楽しくおしゃべりしに来ています。生歌があるので、歌うことへの緊張感もありますが、そのスリリングな感じは嫌いじゃないですね。大貫さんというパートナーと一緒に、30分駆け抜けると、『はぁ、今日も無事終わったね』と一息つく感じもあって」
――その大貫さんが、井上さんが話している最中に弾かれる曲にはリクエストをなさるのですか?
「あの曲はすべて大貫さんのオリジナル、アドリブなんでね。完全にお任せ。実は何を弾いているかも僕はよく分かってないくらい(笑)。最中は大貫さんが横で弾いていることすら忘れてます。大貫さん、お便りの内容が難しい質問のときは、どこか弾きにくそうなんですよね」
――井上さんの、ラジオとの付き合い方について教えてください。
「中学生の頃は、福岡ローカルの深夜放送を、ラジオを布団の中に入れて聞いていた記憶があります。時計にラジオ機能がついているものだったかな。以後は遠ざかってしまって。この番組の話をいただいてから、ラジオってどういう風にやるのかなと思って熱心に聞くようになりました」
――好きだったパーソナリティーの方や、目標とするパーソナリティーはいらっしゃいますか?
「自分のキャラクター的に、毒蝮三太夫さん。あそこまでの熟練の芸の域にはなかなかいけないでしょうけど、毒舌はいてもみんなから愛されるようなキャラクターは尊敬するところですね。修行が足りないんでまだまだですけど」
――さて、10月12日(木)には、番組発のスペシャルコンサートが開催されます。内容などすでに決まっていることはありますか?
「現在のところ決まっているのは、日にちと会場、僕と大貫さんが出ることくらい。会場は東京国際フォーラムのホールAで、とにかく大きい。5000人。企画者は何を考えているんだろうって思ったんですけど、ラジオの番組をきっかけにライブをやるという試みは楽しみです。ライブのことを毎週毎週話しながら当日を迎えるというのも初めての経験ですし、ラジオ発ならではの進み方、盛り上がり方をするんじゃないかなと思ってます。不安とともに、新しいお客さんに会える楽しみがあるし、ラジオを聞いて僕を知って来てくれる方がいたり、新しい形態だなと思います」
「内容は、当初は番組の雰囲気そのままにできたらいいねって言ってたんですけど、5000人だからそれはないな、考えなきゃなと思っています。ラジオでは2曲歌ううちの1曲は必ずポップスというか、ミュージカル曲ではない曲にしています。ポップス、洋楽、合唱曲・・・。リクエストをもらって歌ったり。これまで30曲近く歌っていますし、人気のあるものを歌ってもいいですよね」
――近頃は、StarSでの活動もあって、井上さん個人名義でのコンサートは久々ですよね。
「ディズニーコンサートなどはやっていますが、でも本当に個人としてのコンサート、しかも大きな会場で、というのは3、4年、もしかしたら5年ぶりくらいになるんじゃないかと。ミュージカルの曲も、僕としては大好きな曲でもこれまでコンサートでは歌えていないものがあるので、ミュージカルナンバーも歌いたいです。CDで言えばベスト盤、ラジオと舞台・ミュージカルのベスト盤2枚組みたいなコンサートができたらいいなと思います」
――最後にテレビのこと、現在WOWOWで挑まれている『福田雄一×井上芳雄「グリーン&ブラックス」』のことからうかがいたいのですが。
「ああ、ミュージカルコントと言われる・・・(笑)。あの番組ではいかにアドリブを言うかしか考えてないですね。脚本・監督の福田さん自体が自由に笑いを作ろうとしていて、脚本が収録のギリギリに届くんですが、細かくネタを指定していないんですよ。稽古で僕らがやることを福田さんはただ見て笑ってるという。でも、面白くなければ笑ってくれない。稽古を続けているとだんだんと笑わなくなる。体を張って、身を切らないと笑いは生まれないですし、使われるかどうかはさておき、思いついたことをやってます」
――共演の方たちのテンションもとても高く感じられます。
「この番組が『はじめまして』の人もいるんですが、みなさん稽古に入って、『え?』と思いながら、『こういうふうにやるんだ』としばらくしたら察知して、そのうちにハジケだす。そこで開眼する人もいるし、知ってる人の意外な一面が見られたり、すごく楽しいですね。すでに8回分収録が終わってますが、使えないネタがいっぱい。でも現場が盛り上がることが一番だなと思って臨んでます」
――今後、テレビでチャレンジしてみたいことはありますか?
「まだテレビ、映像に関しては、経験していないことが多いので(『グリーン&ブラックス』はそうでもないけど)、なんでもやってみたい。もし挙げるとすると、どちらかというとお話を聞いていただく機会が多いので、聞き手に回って、インタビュアーの立場での仕事もできるようになりたいと思いますね。ラジオでは少し出来ていますが、他の人の話を上手に聞けるようになりたいです」
10月に東京国際フォーラム・ホールAで開催される「井上芳雄 by MYSELF スペシャルライブ」。番組限定プレミアム席、S席特別先行予約はあっという間に完売し、人気の高さを見せつけた。チケットの一般販売は、7月22日(土)朝10:00スタートで、こちらも争奪戦になることは必至。プリンスファンの皆様、心してその時をお迎えください。
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)