創立100周年を迎えるウォルト・ディズニー・カンパニーが、ディズニーランドの人気アトラクションを壮大なスケールで実写映画化した「ホーンテッドマンション」が9月1日に全国で公開された。物語の舞台は999人のゴーストが住む館「ホーンテッドマンション」。心霊写真家、神父、歴史学者、霊媒師といった4人の“心霊エキスパート”たちが、ユニークな999人のゴーストたちと、仕掛けられた数々のトリック。不気味な体験を通して、館に隠された悲劇的な真実に気付き始める。このほど、日本語吹替版で何かと大げさな霊媒師・ハリエット(ティファニー・ハディッシュ)の声を担当している土屋アンナにインタビューを実施。作品の印象やアフレコをした感想、“100年後に残したいもの”、そして自身にとっての“大きな出会い”について語ってもらった。
――作品全体の印象はいかがですか?
あのホーンテッドマンションの映画化という事でしたが自分のイメージをいい意味で裏切られました。すごくヒューマンドラマが入っていて、大人が結構深く考えさせられるような部分があるんです。
もちろん、自分が小さい頃から乗っていたアトラクションのホーンテッドマンションに出てくるキャラクターもいっぱい登場するので、それを見つける面白さもあったりして。それぞれのバックグラウンドがちゃんと描かれているから、この作品を見た後に改めてホーンテッドマンションに乗ったら、またちょっと印象が変わるかもしれないなと思いました。
――今回、日本語吹替版で声を担当した霊媒師・ハリエットは、どんなキャラクターだと捉えていましたか?
キャラクター的には大胆であり、繊細なところもある子どもの心を持った人なのかなと。演じているティファニー・ハディッシュさんは声だけで言うとすごく感情を正直に出す方でミュージシャンみたいだなという印象。自分自身と重ねた時に似ているなと感じたのでとてもやりやすかったです。
――アフレコでは感情を真っすぐ出していたんですね。
もうストレートでしたね。めちゃめちゃ動きながら録っていました(笑)。
――吹き替えで苦労した部分はありましたか?
ほとんどなかったです。ギャーギャー騒いだりするシーンは、自分も音楽をやっているのでむしろやりやすかった。
ただ、精霊に向けての言葉やおまじない、天に向かって話し掛けるというのは普段やっていることではないから難しかったかな。それと、英語を聴きながらアフレコをしているので「バイバイ!」というセリフの時につい「バ~イ!」って言っちゃったことはあります。声につられて思わず英語になっちゃいました(笑)。基本的にはのびのびと楽しみながら演じていました。
――監督から何かリクエストされたことはありましたか?
叫ぶシーンは1発OKが多かったような気がします。監督も「面白い」って言いながらケラケラ笑っていました(笑)。印象に残っているという意味では、亡くなった方の悲しい気持ちを読み取る感情の時は、バックグラウンドを大事にしながら話してほしいというリクエストがありました。
ハリエットもお父さんを亡くしているので、その悲しい気持ちだったり、お父さんを愛していたという思いがセリフとセリフの間に見えたらいいなと。監督自身がものすごくいい人なので、それぞれの背景にある重みのようなものが分かるんでしょうね。だからこそ、一つ一つの言葉を大切にしたいと思ったんじゃないかなって。芝居にメリハリがあったから演じやすかったです。
――今回は霊媒師役でしたが、土屋さん自身に霊感は…?
それがあるんですよ。ゴーストは信じないんですけどね(笑)。
――何かお話できるエピソードはありますか?
ヤバい話しかないなぁ(笑)。何かが見えるとかではないんです。入りやすいというか、ここはものすごく“かわいそうな場所”だなということを感じやすい。
――ロケ地やホテルなどで感じるということですか?
入った瞬間に分かります。「ここはアウト!」っていう場所はいっぱいありました。そういう時は、とりあえず帰ったらひたすら塩を舐めます(笑)。アンティークショップでも、かつての持ち主の“何か”を感じたりすることも。
これは「霊感」ではなく「敏感」なんだと自分では思うようにしていて。人間ってそもそも敏感な生き物ですよね。でも、現代社会ではどんどんみんな鈍感になっている。ただ、他の人よりもちょっと敏感さが残っている人は月の動きに左右されたり、地震が来る前に微妙な変化を感じたりする。だから、もともとみんなが持っていたものだと思ったら、少しは怖くなくなるんじゃないかなって自分の中で納得するようにしています。
――その敏感さが表現者として“武器”になることも?
考えたことはなかったですけど、言われてみると役に立ちそうな気がしますね。やっぱり、自分とは違う人を演じるっていうことは、台本に書かれていないその人の感情を読み取らないといけない。その読み取り方が正解かどうかは分からないけど、それがフィットした時にもしかしたらお客さんたちに感動を与えられるのかもしれません。何かを表現する仕事をしている人は、他の人よりも敏感な人が多いような気がします。
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