市原隼人「子供たちにはうそをつきたくない」愚直に向き合った“生徒役”の子供たち&作品への思い<おいしい給食 season3>

2023/10/02 12:00 配信

ドラマ インタビュー

「子供たちにそんな姿を見せたくない」


――本作のみどころの一つは、市原さんのコミカルな演技かと思います。演じるうえでの難しさや楽しさ、試行錯誤したことがありましたら教えてください。

作品のベースが基本コメディーなので、笑わせようとしてはいけない。自分が笑われなければいけないと思っていて…甘利田にとっては全部「悲劇」なんです。でも、少し離れて見ると、それは「喜劇」ですごく面白いんですよね。

なので、僕はもうとにかく必死に、甘利田として右往左往して…勝手に自分で考えて振り回されてるだけなんですけど(笑)、給食に振り回されて、ライバル生徒に振り回されて、食に振り回されて、北海道という大地に振り回されて…真剣に「悲劇」の中に入ろうと思いました。

それは中途半端な形ではなく、文字通り身を削りながら、体が動くうちはけがじゃないと僕は思っているので(笑)、全身を使って作品に懸命にかぶりついて、「離さないぞ!」っていう思いでやっていますね。

――ずっと気になっていたのですが…給食のシーンはアドリブなんですか?

給食のシーンは全部そうですね。台本には何も書いていないので、僕が全部、動きもダンスも考えてます。ナレーションの抑揚とか動きを自分の中で構築してから現場に入らないといけないので、寝れないんです(笑)。あそこどうしようかな? 明日どうしようかな? って考えて、気が付いたら朝になっています。

でも、それだけ遊ばせていただけていると言いますか、信頼を培えたからこその作業だと思います。監督と脚本家と演者がここまで肩を組んできたからこそ、現場でいろいろなものを生み出せると思うので、本当に感謝しています。

実は「season3」の現場に入る前はやり遂げられるかなって不安だったんです。でも、子供たちにそんな姿を見せたくないですし、現場に行って子供たちの笑顔やスタッフの顔を見ると、「もっと楽しいものを作りたい」って思わせられてしまうんですよね。それもやっぱり信頼かなと。

――これまでたくさんの給食を作品内で召し上がってきた市原さんが今、究極の給食=“究食”を選ぶとしたら?

きなこパンはベースですね。いや、ソフト麺も欲しいな…そうすると炭水化物だらけだな(笑)。あと、冷凍みかんも好きなので…あのカリカリする感じ。あと白玉を口に入れる感じもすごく楽しかったし…(頭を抱えて)うわぁ、もう選べないなぁ。

ソフト麺はミートソースですね。給食のスープ系…たまごスープも好きなんですよね。牛乳はキンキンに冷やした牛乳と、ストーブで温めた牛乳の2つ欲しいですね(笑)。ストーブといえば、今回、ストーブが鍵になっています。それが一番最初に「新鮮だな」と、思ったところでした。教室の中にストーブがあって、そのストーブの真横にライバル生徒が座っているという…もう何かはじまりますよね。

――市原さん演じる甘利田先生は“給食マニア”ですが、市原さんはご自身を何マニアだと思いますか?

料理も好きですし、バイクに乗るのも、旅も好きですね。子供の時とか、目的地を決めずに走り回っててよく迷子になっていました。

大人になってからも変わらず、国内であればホテルを決めずに行って、断られたら次に行って…目的地を決めない旅が好きなんです。あと、写真を撮るのも好きですし、もちろんお芝居は切っても切れない腐れ縁で…もう好きなものがあり過ぎて選べないですね(笑)。

市原隼人“甘利田”が外国へ!? はたまたタイムスリップ!?


――以前、インタビューで「外国で給食バトル」をしてみたいと仰っていたのを拝見したのですが、本シリーズでの今後の展望を教えてください。

そんなこと言ってましたか! いや、でもしてみたいですね。異文化交流じゃないですが、今回から出てくる比留川先生(大原優乃)が帰国子女で、ちょっと異文化が入ってきて面白いと思いました。

「いただきます」「ごちそうさま」「よろしくお願いします」って、日本独特の文化であり言葉だと思うのですが、そういう心構えや所作を持っている甘利田が海外にいったらどう感じるのか。アメリカに行ったり、インドに行ったり…いろいろな国の文化の中で甘利田が各国の食を楽しむのも面白いかなと思いつつ、タイムスリップするのも面白いんじゃないかなって思います。

給食が初めて生まれた時代の、甘利田のご先祖様を僕が演じる(笑)。確か、最初は寺子屋で人を集めて、ご飯を食べれない貧しい方たちにご飯を与えたことから始まったと思うのですが、命のありがたみ、食のありがたみをとても感じられる時代に興味があります。

――最後に放送を楽しみにしているファンの方々にメッセージ、今シーズンのみどころをお願いします!

おいしい給食」初のシーズン、冬です。作品の冒頭で「私は極端に寒がりだった」っていうナレーションがあって、それを台本で見た瞬間に「これは面白くなるに違いない」と僕は感じたんです。

凍えながら歩く甘利田を楽しみにしつつ、函館ならではの食、そして新たなヒロイン、新たなライバル生徒、新たな先生方…「season1」から作品を楽しんでくださっている皆さまが求めているシーンはもちろんのこと、初めてご覧いただく方が胸をつかまれるようなシーンもたくさんあります。

これ以上ない“キングオブポップ”を目指して、生まれたての赤ん坊から、100歳を超えるご年配の方、全ての方に楽しんでいただける作品を作りましたので、ぜひ楽しんでいただきたいです!