――「命日もバースデーもないんだから」というサビの歌詞にはどういう思いが込められているんでしょうか?
「命日」は「人が亡くなった日」という意味だけれど、この曲には「運命の日」というニュアンスも入れています。たとえば、自分を傷つけた人や苦しめた人、あるいは逆に自分が苦しめてしまった人のことって、死ぬときに思い出すと思うんです。そう考えたら、「運命の人」って何なんだろうと思うようになって。
結婚して一緒に子どもを作った人なのか、自分が死ぬときに手を繋いでくれていた人なのか、それとも死ぬまで覚えていた憎い人なのか、どれが運命の人なのか分からない。「命日もバースデーもないんだから」という歌詞には、「あんたなんかに私の命日を捧げたくないし、バースデーを祝われたくもない」という意味と「運命なんてないんじゃないか?」そして「いつからいつまでなのか正体のわからない“若さ”」というあらゆる意味を込めました。
実は制作前にスタッフさんから、ドラマでは川口春奈さん演じる立木彩というキャラクターに焦点が当たると伺っていたんです。そこで、彩の気持ちになって改めて原作を解釈しました。特に、彩が持つプライドと私が持つプライドの共通点を深掘りしましたね。
――「この頃感じる焦りはなんだろう/二十四、五、六は溶けやすいだろう」という歌詞も気になります。ちゃんみなさんは現在、24歳。ご自身にも焦りがあるのでしょうか。
24、25、26歳は女性にとって、人生において決めなければいけないことが増える年齢だと思うんです。たとえば、出産するのか、しないのか。子どもひとり育てることが以前に比べて難しくなっている今の日本経済の中で、その選択肢を選ぶのか、選ばないのか? 焦って決めるのは良くないし、でも科学的にはリミットが近づいている。一方で、遊びやすい年齢でもある。そういう意味で「溶けやすい」と感じています。
――「お前」という言葉はどうでしょうか? ちゃんみなさんが歌詞で「お前」を使ったのは、過去に数回しかありませんよね。
そうなんですよね。「お前」という言葉は私の中では下品な言葉で、相手を蔑むときや命令するときなど、自分が上だと示したいときに使う言葉です。今回「お前」という言葉を使ったのには、母親目線のフレーズがあることや、歌謡曲の時代には割と普通に「お前」という言葉が使われていたことなどいくつか理由があります。でも、一番大事な理由は、「当たり前だ 私高いから/今はヤング 十分払いたくないわ」というフレーズに表れていると思っていて。
私はこの曲の本質はここだと思うんです。これって、若い時にしか言えないセリフですよね。若いだけで価値があると言われる世の中で、それを自覚している若い人もいるし、自覚しながらうまく武器としては使えていない人、あるいは過信している人もいる。いずれにしろこの曲では若さを高価なものだと考えて「お前なんかに捧げたくないわ」と相手に言い放っているんですね。
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