そして、波多野の目をしっかり見ながら「ここまで連れてきてくれて、ありがとう。時々は目を休ませるんだよ、これ以上目を悪くしたらいけないから」と気遣いの言葉も。その言葉にも、波多野と共に「顕微鏡を使って“見えないもの”を見たい」と走ってきた野宮ならではの想いがにじむ。
そして最後は、「手紙書きます」と名残を惜しむ波多野に「俺も、手紙書くよ」と笑顔で頷いた。
別れを惜しむ会話からは、2人が研究室で過ごした時間の濃さがうかがえる。こんな風に、万太郎と寿恵子にかかわるさまざまな登場人物の人生も丁寧に描かれているのが「らんまん」の魅力。登場シーンが多くなくても、折に触れて彼らが見せる表情、口にする言葉をつないでいけば、余白を想像することができる。
波多野と野宮の間にも、余白を想像したくなる確かな絆が育っていた。視聴者からも「波多野くんと野宮さんの関係、良かったな。心洗われた」「野宮さんを守り切れなかったと悔やむ波多野くんに、『目を休ませるんだよ』と語りかける野宮さん。本当に素敵な関係!」といった感激の声が多数。
野宮の終始穏やかな佇まいにも「野宮さん、味わいのある人だった。今日で終わりなのかな、寂しい…」「野宮さんの引き際が美しくて。本当に素晴らしかった」「最後まで謙虚で前向きな野宮さん、好きです」「野宮さんのストーリーがもっとじっくり見たい。スピンオフお願いします!」といった声が飛び交い、X(旧Twitter)では放送後、「野宮さん」がトレンド3位に浮上する反響を呼んだ。
9月7日は第114回を放送する。商いを始めるかどうか迷う寿恵子は、候補地の渋谷に初めて降り立つ。農村地帯が広がり、商いなどうまくいきそうにもない場所だが、通りで買ったおにぎりがとてもおいしく、寿恵子は渋谷に興味を持っていく。