小田井涼平が津々浦々の名物スポットを探訪し、食や宿を楽しむ旅番組「一度は行きたい極上宿 小田井涼平のあい旅」(毎週木曜 夜8:00-9:00、BSJapanext)。8月31日の放送では、大小さまざまな120の島で構成された熊本県・天草市の上島を探訪した。
オープニングでは“海の町”である天草市に合わせて、浜辺が似合うマリンリゾートスタイルで登場した小田井。しかしロケが始まった場所は「天草かどうかわからへん」と突っ込みの入る山のなかだった。もちろん小田井への嫌がらせなどではなく、“御年87歳の新人女子アナ”に会うためのチョイスだ。
一軒家の扉をくぐると、現れたのは87歳の女子アナ“クロちゃん”こと土黒佳子さん。約3年前にインターネット放送局・天草テレビでデビューを果たしたらしく、現在は子どもたちに披露するための紙芝居を稽古中だという。早速小田井の前で演じてみせるといって始まった紙芝居は、ただ決まったセリフを読み上げるだけでなく、波や雷などの効果音も演出する力の入れようだ。感化された小田井は「僕もやっていいですか？」と興味津々に名乗りを上げると、森本レオ風のナレーションを取り入れながらユーモアたっぷりにやってのけた。
土黒さんに別れを告げた小田井が向かったのは、手付かずの自然が数多く残る維和島。身長188センチの小田井にも負けないほどの緑が生い茂るスポットだが、陶芸でも有名な場所だ。天草は陶磁器の原料の有名な産地であり、全体の約8割を産出している。ここで訪ねた蔵々窯は、維和島出身の許斐良助さんが1992年にオープンした工房。陶磁器とは信じられないほど薄く作られた器など、個性的な作品が置かれている。
せっかく窯元でもある蔵々窯と出会えたということで、陶芸体験をすることに。湯呑み作りにチャレンジするが、慣れないロクロに苦戦気味の小田井は小声で「怖い」を連発。結果的に、歪ながらも注ぎ口が付いたユニークな作品が完成した。
この蔵々窯の特徴の1つは、タイミングが合えば許斐さんお手製のパスタが食べられること。あっさりした味付けに舌鼓を打つ小田井は、許斐さんのマルチプレーヤーぶりを目の当たりにし、「何屋さんかわからん」と賞賛した。
この日の極上宿は6月にオープンしたばかりの「天ノ寂」。思わず美術館と見紛うような、宿のモダンなたたずまいが目を引く。
案内された部屋は、小田井が「VIPルームみたい」「これ、お部屋ですか？」と目を丸くしたスウィートルーム。それもそのはず、自動カーテンの向こうに夕暮れの黄金色に染まった海が広がり、お酒の時間を楽しむバーカウンターがある。さらに内風呂には5、6人が一度に入浴できそうな大きさの浴槽とサウナが付いており、露天風呂は隣の部屋のベランダと繋がる広々としたデザインだ。至れり尽くせりの贅沢っぷりは、たしかに部屋というよりアミューズメントパーク。どれをとっても豪華な設備の1つひとつに、小田井も感動が隠せないようだった。
腰にタオルを巻きつけただけの姿になった小田井は、さっそく海を一望できる極上の湯を堪能。自然と口をついて出た「最高やなこれ！」という言葉通り、ゆっくりと日が沈みゆく海岸線を眺めながらのひと時は格別だ。さらに内風呂に備えつけられたプライベートサウナで体を蒸し、日々の疲れを洗い流した。
待ちに待ったの夕食は、小田井が思わず「選択肢多いな！」と笑ってしまうほどラインナップ豊富な食前酒選びから開始。今回はあまくさ晩柑をモエ・エ・シャンドンで割ることに。晩柑の甘味と爽やかさが突き抜ける意外性たっぷりのマリアージュを楽しんだ。
最初に運び込まれた一品は、黒毛和牛の和王を瞬間スモークしたもの。舌の上で蕩ける冷たい肉の食感、燻された香りをじっくり味わう。小田井が「あんまり食べたことない」という天ぷらは、鮑の身と肝、いちじくを揚げたもの。天草の人々は子供の頃からいちじくの天ぷらに慣れ親しんでいるというが、今回初めて口にする小田井は「もし黙って出されたら、(なんの天ぷらか)一生答え出ない」と独特の風味に感嘆した。
魚料理は、熊本の海の幸をふんだんに使った握り寿司。数々のネタが並ぶが、なかでも小田井を唸らせたのは、化粧包丁が入れられたアオリイカ。口の中でスッと溶けてしまう身と日本酒が舌の上で混ざり合い、至福のひとときを楽しんだ。先ほど部屋から金色の輝く夕焼けに目を細めた小田井は、「普段よりも5倍くらい美味しいなと思える自分がいますよね」「今、僕の体の80パーセントは天草になってますね」と絶賛し、静寂の中で眠りについた。
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