鞘師里保、モー娘。卒業から7年半の今 ソロアーティストとして羽ばたく新しい音楽世界

2023/09/15 18:00 配信

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ダンスを封印「Billboard Live」では歌で勝負

鞘師里保※提供写真


そんな卓越したダンスを武器にファンを魅了し、復帰後はさらにワンステージ上のダンスパフォーマンスを見せている鞘師だが、今年の6月、大阪、横浜で2度にわたって開催された「Billboard Live」では代名詞のダンスを封印し、歌唱だけの新しいチャレンジを行っている。9月17日に衛星劇場で放送されるのは、このときの横浜公演の模様となっている。

彼女の昔からのファンであれば理解できると思うが、モーニング娘。時代の鞘師にとって、歌はある意味鬼門でもあった。コーラスも任されるほどリズム感は抜群だし、低音ボイスには声量もある。しっかり歌えるのは間違いないが、ダンスに比べて突出してスキルが高いというわけでもなかった。サブボーカルのポジションであればそれでも良かったかもしれないが、彼女が置かれたのはモーニング娘。というハロプロの旗艦グループを牽引するエースだった。エースに突き抜けた上手さを求めるグループファンからは厳しい声もあり、鞘師自身も歌にはコンプレックスを口にしたことがある。特にハロプロの歌には欠かせない高音域は、彼女が苦手としている音だった。にも関わらず、あえて歌だけで勝負する。それがストイックにチャレンジを続けてきた鞘師らしい。

ダンスについてはニューヨーク留学という過程が見えているが、ボイストレーニングについては本人から明確に語られたことはないはずだ。ただ、それでも陰で相当な努力を積み重ねてきたのは間違いないだろう。激しいダンスをしながらも乱れない発声に、苦手だった高音も伸びやかに歌い上げている。バンドセットで送る「Billboard Live」は、そんな成長した鞘師の歌声を堪能できる歌1本のライブなのだ。

鞘師里保 ※提供写真


自由な音楽世界で羽ばたく鞘師

鞘師里保※提供写真


グループアイドルの宿命でもあるが、“モーニング娘。の鞘師”が好きだったというファンがいるのは事実。卒業したメンバーは追わないというグループありきのファンも多くいる。それが本稿冒頭で「今の鞘師の音楽があまり知られていない」と述べた理由だ。しかし、1度でも鞘師に惹かれたのであれば、現在彼女が作り上げている別世界のパフォーマンスをぜひとも目撃してほしいものだ。鞘師の新しい魅力に気づかされるであろうし、なによりこれが1番伝えたいことなのだが、今の鞘師はとても楽しそうに自分の求める世界を自由に羽ばたいている。

鞘師はこの後の9月24日(日)、東京・EX THEATER ROPPONGIでの公演を皮切りに、「RIHO SAYASHI 3rd LIVE TOUR 2023」をスタートさせる。北海道、大阪、愛知、宮城、福岡、広島と全国を巡り、ラストは 11月3日(金)、東京・豊洲PITでの全9公演となっている。

◆文=鈴木康道

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