ミュージカル「東京リベンジャーズ」出演の佐藤信長「テレビに出る」という芸能のイメージから舞台に夢中になったきっかけ

2023/09/20 11:00 配信

2.5次元 インタビュー

佐藤信長撮影=小山志麻

メンタルの強さで乗り越えた、ベテランに囲まれた作品


──これまでを振り返って、特に自身のターニングポイントになったと感じる作品や役を挙げるなら何ですか?

7月に出演した悪童会議 旗揚げ公演「いとしの儚」です。ミュージカル「刀剣乱舞」の演出を手掛ける茅野イサムさんが、演出家としてだけでなく、20年ぶりに役者としても舞台に立った作品で、共演者はベテランの方ばかり。もちろん同世代からもらえる刺激もたくさんありますけど、この作品ではベテランの方々から本当にいろいろな刺激をいただきました。

それを特に感じたのは稽古です。稽古では同じシーンを何度も繰り返すのですが、皆さん毎回違うお芝居を見せてくださるんですよ。僕らの同世代だと、どうしても「早くお芝居を固めたい」という気持ちが大きくて、自分の中でお芝居を作っていってしまうのですが、「いとしの儚」では、皆さん毎回違うお芝居をされる。

その中で僕は何をやっても「違う」と言われて。でも、できてないのは自分でも分かる。その「できないのは分かっているけど、どうしたらできるのかが分からない」という感覚を久しぶりに味わいましたね。

──それはどうやって乗り越えたのでしょうか?

先輩方が何度も助けてくださったのはもちろんですし、あと僕はどうやらメンタルが強いらしくて。「違う」って言われても、落ち込まずに「どんなもんじゃい!」くらいの気持ちで、別の芝居をしてみるというのを繰り返していました。落ち込んで、引きつった顔でやっていても意味ないじゃないですか。もちろん家に帰ってからは反省したり改善したりはしますけど、稽古場で不必要に落ち込まなかったのが良かったのかなと思います。

──改めて今のご自身のお芝居に向き合ったり、現実を知らしめられたりしたのが「いとしの儚」だったと。

そうですね。2.5次元の作品だと、作品や演じるキャラクターの人気でお客さんがついてくださるところがありますよね。だから「いとしの儚」の間に、どれだけ佐藤信長として成長できるかというのも考えていて。

そういう意味では主演の佐藤流司くんは神がかっていて、それもすごく刺激になりましたね。茅野さんと流司くんが二人で、件鈴次郎という役を作り上げていく様子を見られたことは、特に勉強になりました。本番だと完成された鈴次郎しか見られないけど、それまでにいろいろな過程を経ていて。

僕は、稽古場で不正解を出すのが怖いので、当たり障りのないものを出してしまいがちなんですけど、流司くんは絶対に最初からど真ん中のものは出してこない。それを見ているだけでも面白いし、そうやって役を作っていく流司くんと茅野さんの時間を間近で見られたことが、僕の中ではかなり刺激になりました。

7年やってきて自分の中で破れていなかった殻のようなものの破り方が、一つ分かったような気がしました。その分、しんどかったですけどね。

佐藤信長撮影=小山志麻


「やっぱりみんなライバル」目指すのは替えの効かない俳優


──11月から上演のミュージカル「東京リベンジャーズ」の出演も決まり、この先も人気作への出演が続く佐藤さんですが、俳優としての理想像や今後の展望はどのように考えていらっしゃいますか?

堺雅人さんがすごく好きなんです。日曜劇場「VIVANT」を見ていたら「半沢直樹」も見たくなっちゃって、今、並行して見ているんですけど(笑)。堺雅人さんのような、替えの効かない俳優になりたいと思っています。

一度やった役が、続編のときに何かの都合で別の方になっちゃったりしたら「信長くんの方が良かった」って言われたい…いや、でも僕はたぶんその作品のことが好きだから、そう言われるのも嫌だな(笑)。

そもそもそんなことはないと思うんですけど、でもやっぱりみんなライバルなので、特に1回自分が演じた役については「あの役は佐藤信長以外できない」と言ってもらえるような俳優になりたいです。

──ドラマもお好きとのことですが、ドラマや映画など、映像作品に出演したい気持ちは?

やりたい気持ちはあるんですけど、映像はほぼ未知の世界で…。でも、舞台とは違う面白さもあると思うので、機会があったら出てみたいです。

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