「期待を裏切るような“推し”にはなりたくない」礒部花凜が妥協しない理由

2023/09/20 18:00 配信

芸能一般 インタビュー

声優・女優として活躍する礒部花凜撮影/藤城貴則

『ウマ娘 プリティーダービー』『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat.初音ミク』『アイドルマスター シャイニーカラーズ』などの人気作品に声優として出演する一方、舞台やミュージカルなどの女優業でも注目を集める礒部花凜。彼女の1st写真集『私めく』が現在発売中だ。女優・声優として活動する中で彼女が大切にしていることやパーソナルな近況、写真集に込めた思いをじっくり語ってもらった。

役は自分だけでつくるものではない


――礒部さんが普段、役を演じる上で大切にしていることは何ですか?

すごく当たり前のことではあるのですが、まずは台本をしっかり読む。読めば読むほど味がするというか、そこに時間をかければかけるほど自分の役はこの作品の中でどんな役割を担っているのか……ということが見えてくるんですよね。物語全体の理解もより深くなりますし。「役を生きる」ってよく言いますけど、台本に書かれている感情は「頑張って」つくるのではなく、役を生きていれば自然に湧いてくるものじゃないかなって。なので、まずは台本を読み込むことが大前提だと思います。

――台本を読むとき、具体的に意識するポイントはありますか?

大学でミュージカルコースに在籍していたのですが、当時の先生が「台本を逆撫でするように読みなさい」とおっしゃっていて。「ちょっとした違和感も流さず、肌で感じながら読みなさい」ということだと私は理解しているのですが、それがすごく印象に残っています。もちろん台本をリスペクトしつつ……ですが、自分の役の言い回しやセリフの温度感に違和感を持つことってやっぱり時々あるんですよね。そんなときは演出家の方に相談して、場合によっては「確かにそうだね」と言ってくださって変更になることも。役は自分だけでつくるものではないので、疑問に感じたら結構聞きに行くタイプかもしれないです。

――違和感を抱えたままだと、やはり100%の力で演じられないといったことが起こるのでしょうか?

その違和感をあえて生かしたり、大切にしていくといった演出の場合は違うと思うんですけど。自分の中で自然にひとつの物語が通るようであるといいなって思います。

いい意味でプライドを持つことは、表現者としての軸


――表現者として常に自分の中に持っている軸はありますか?

いい意味でプライドを持つこと。舞台でもコンサートでも、その期日までにちゃんと完成したものをお客様に届けるっていう気持ちは絶対になくしたくないです。難しい役だったり、単純に時間がないといった壁にぶち当たることもありますが、初日までには何としても間に合わせるんだって。そういう曲げられない気持ちはずっと心に持っていますね。

――困難はいつもどうやって乗り越えるのでしょうか?

物理的に時間が足りない場合は、まぁ、睡眠を削るしかないですよね(笑)。あとは2日間あるライブだと、前日のゲネプロが終わった後にマネージャーさんとスタジオに入って自主練して、1日目の本番終わりにまたスタジオでブラッシュアップをするとか。それを実際にやったことがあるのですが、完全に私の「妥協したくない」という気持ちが突き動かしたものでした。

――「やれることはやった」という状態にしておきたいというか。

ファンの皆さんの期待を裏切りたくないっていう気持ちも強かったんだと思います。練習するのは自分のためでもあるかもしれないけど、お客様は貴重な時間とお金を割いて来てくれているわけだし、その期待を裏切るような「推し」にはなりたくないという感じですね。

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