「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ロード・オブ・ザ・リング」など大ヒットシリーズで世界中の映画ファンの心を鷲掴みにしたオーランド・ブルーム。9月15日劇場公開の「グランツーリスモ」で久しぶりに大作映画に出演したことも話題の彼を深堀り。甘いルックスの裏に隠された俳優業への思いや、家族を大切にする父親としての一面など、愛される理由が見えてきた。
1977年1月13日にイギリスのケント州に生まれたオーランド。2023年現在は46歳だ。小さい頃から発達性読み書き障害に悩まされてきた彼は、写真や彫刻、詩など芸術の分野に楽しみを見出すように。16歳の時にロンドンに移り、奨学金などを得て演技学校に通い始める。
多くの若手俳優同様オーディションに幾度となく挑戦し、BBCの長寿ドラマ「Casualty(原題)」で俳優デビュー。1997年公開の「オスカー・ワイルド」で映画デビューを果たす。その後ギルドホール音楽演劇学校時代に「ロード・オブ・ザ・リング」のピーター・ジャクソン監督の目に留まり、超大作「ロード・オブ・ザ・リング」三部作に参加することになる。
エルフのレゴラス役でキャスティングされた彼はニュージーランドで18カ月の撮影に参加。さらに、2003年公開の「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」から続く「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ(ディズニープラスで配信中)でウィル・ターナー役を演じジョニー・デップやキーラ・ナイトレイと共にヒット作を作り上げる。
俳優デビューから数年で映画史に残る歴史的ヒットシリーズに、ひとつのみならず、ふたつも出演することになる。
その後も「トロイ」や「キングダム・オブ・ヘブン」に出演し、正真正銘ハリウッドスターの仲間入りを果たすが、演技学校に通い役者として演じることを追求してきた彼にとって、その名声は求めていたものではなく、2007年には舞台へ戻ることを決意する。
2013年にはブロードウェイの「ロミオとジュリエット」に出演するなど常に舞台での仕事を大切にしているオーランド。「いつも一番集中していたのは子供の頃、舞台の上にいた時だって感じてた。興奮と同時に恐怖もあった。あの観客の前でアドレナリンが押し寄せる感じが僕にエネルギーをくれたし、俳優になるというアイデアに恋に落ちた理由だよ」と原点への思いを話す。
初心を忘れずに芝居に磨きをかけるべく、オーランドは「ホビット 決戦のゆくえ」以降、ドラマ「新しい夫婦の見つけ方」やサスペンス「アンロック/陰謀のコード」、戦争映画「アウトポスト」などジャンルやスケール問わず様々な作品に出演。コロナ禍に封切られた「復讐の十字架」は批評家からも高い評価を獲得し“キャリア史上最高の演技”と評する声も。2021年には「カーニバル・ロウ」で実写ドラマシリーズ初主演を務め、製作総指揮も担当して活躍の幅を広げる。
「短距離走ではなくマラソンとして自分のキャリアを見ている」という言葉通り、焦らず着実に歩んできたオーランドは「グランツーリスモ」で久しぶりに、いわゆる大作映画に帰ってきた。
オーランドが大作映画に戻ってくるのは約10年ぶり。家族との生活に集中するために時間を確保していたのだという。
2010年から2013年まで結婚していたモデルのミランダ・カーとの間に男児を、2016年からパートナーとして人生を共に歩んでいるポップスターのケイティ・ペリーとの間に女児をもうけ、2人の子を持つ父になったオーランド。
実は彼自身、実父を病気で亡くしたと思っていたが、父の死後に養父として子育てを手伝ってくれていた母の友人が実父だった…という複雑な過去をもっている。この経験は自分が目指す理想の父親像にも影響を与えた。「僕自身の子供時代の話や父との関係から、息子のために僕が存在することは本当に重要だった」 と話しており、子供との時間を優先することに迷いはなかったようだ。
これまで絶えず世間の注目を浴びて生きてきたオーランドにとって、ハリウッドから離れたこの時間はいい充電期間になったそう。「創造性の源をすべて使い切ってしまう前に、時間をかけて再充電しないと」と私生活を大切にする理由を話している。
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