2016年度にBS・CS(有料多チャンネル)で放送されたオリジナル番組の中から、優れた番組・企画を表彰する「第7回衛星放送協会オリジナル番組アワード」。オリジナル番組部門(7部門)101番組の中から、バラエティ部門の「KNOCK OUT(ノックアウト)~競技クイズ日本一決定戦~」(ファミリー劇場)が大賞に輝いた。
地上波で素人参加型のクイズ番組がほとんど消えるなか、一般のクイズプレイヤーが自分たちの力だけで開催し、レベルを上げてきた“競技クイズ”。この日本一を決める大会を開催・放送したものだ。総合演出の乾雅人、プロデューサーの小柳大侍、大会主宰(司会)を務めたタレントのやついいちろう(エレキコミック)が番組への思いや裏話を語った。
番組制作の最初に決めたのは、「ネームバリューに頼って過去のクイズ王を呼ばない」ことだった。そうして、予選会を勝ち抜いた人だけで争うガチのクイズ番組が誕生した。
小柳「僕は格闘技が好きなのですが、話題性や集客力を求めて、かつて強かった選手の試合が組まれることがあります。でも、それはしたくなかった。今、本当に強い人は誰なのか。地味になってもいいから、クイズのコミュニティーのなかで強いといわれる人たちを集めて戦わせ、クイズ王を決めたかったんです」
乾「『KNOCK OUT(ノックアウト)』は競技クイズの中継ではありません。延々とクイズをやるだけではテレビ的にはつまらない。それではクイズのイベントと変わりませんから。そうはいっても、クイズの途中に、やついさんからトークを振られたり、ツッコまれたりするのは、出場者からするとペースが乱れるから嫌なはず。やついさんはそれを、テレビ的な面白さと競技クイズの緊迫感が両立する絶妙な匙加減で進行してくれました」
やつい「出場者のみんながファニーに映るようにイジりながらも、クイズの邪魔はしないこと。そのバランスだけは注意していました。均衡状態が続いて会場のお客さんの集中力が落ちてきたらイジって、緊張感が続いているときはイジらない。会場のクイズ好きのお客さんは、ひいては番組視聴者につながっていると思うので、会場が盛り上がるように考えて進行しました」
出場するクイズプレイヤーたちが、一般人では解けないような難問を異次元の速さで解答していくさまが、この番組の醍醐味だ。
やつい「出場者たちのクイズにかける熱量に驚きましたね。駅や店にあるチラシをいちいち手に取って、隅から隅まで読んで、クイズの情報収集をしている。こんな効率の悪い勉強をしているのか!? と。彼らにとって日常生活がクイズありきなのです。ある出場者は、“ヒモ”なのをいいことに、クイズの勉強ばかりしている。そういう潔さは好感が持てますね(笑)」
乾「そんな『KNOCK OUT(ノックアウト)』はおかげさまで第2回までを放送しています。今回、大賞をいただきましたし、第3回をやるしかないですね!」
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