<らんまん>脚本・長田育恵氏が、最終週の仕掛けを明かす キーワードは「継承」

2023/09/26 07:30 配信

ドラマ インタビュー

お気に入りの“アドリブシーン”を明かす「『寿恵子、トライ!』は全話通しての彼女のテーマ」


――膨大な物語の中でも、印象深い登場人物やシーンはありましたか?

全部が好きで、どの人物にもどのシーンにも愛着が湧いているので難しいですが…。制作チーム・俳優と渡っていく過程でたくさん愛情をいただき、俳優の皆さんからもらうものがとても大きかったと感じます。

俳優たちから生まれたものとして分かりやすく楽しかったのは、神木さんの「ズギャン!」ですね。あれを言葉にしたことは衝撃的でした(笑)。とってもチャーミングでしたね。

万太郎の「ズギャン!」を受けて竹雄(志尊淳)も後半で「ズギャン!」と言ってくれてましたね。私が脚本に込めた思いを俳優たちがキャッチアップし、それをどうチャーミングに表現するかと工夫を凝らしてくれたのがとても面白かったです。

他にもとても感動したのが、ダンスレッスンを始めた時に寿恵子(浜辺美波)がクララ先生からプランクをさせられるシーン。寿恵ちゃんがアドリブで「寿恵子、トライ!」と言ったんです。先生が『キープ』と言ったあとに『キープ』と復唱して頑張る場面だったのですが、「トライ、寿恵子」と先生が言ったあとに、寿恵ちゃんも自分で「寿恵子、トライ!」と言ってくれて…。あれは寿恵子の産声でもあり、全話通しての彼女自身のテーマを自分で言ったなと思ったんですよね。

彼女にとって最終話まで「寿恵子、トライ!」の連続。自ら社会に踏み出し、最初に踏ん張ったところで出たアドリブが自分の生涯のテーマだったというところで、すごく感動しました。

出来上がった映像を見てから具体的に肉付けを行ったキャラクターたち


――完成した映像や視聴者の反応により、当初思い描いていたものとは展開が変わったり、ここまで出る予定ではなかったキャラクターを出演させてしまったりということはありましたか?

宮野真守さん演じる逸馬さんに関しては「生きているか死んでいるかを知りたい」という声がとても多かったので、ちゃんと生存を確認していただこうという気持ちが働きました。

キャラクターについては、出来上がった映像を見てから具体的な肉づけが日々増えていきました。例えば、前原瑞樹さん演じる藤丸のキャラクター。初登場のシーンで、元々ト書きに「ウサギ小屋でウサギをかわいがる」と書いていたのですが、実際の映像を見ると、私が想定していた距離感よりももっと近かったんです。

ビジュアルで見せていただいたことで、藤丸くんの優しさや傷つきやすさが具体的に見えてきました。「つわりには揚げいもがいいんだよ」と万太郎に作ってみせるシーンも、彼ならそういう行動をするだろうとどんどん生まれてきました。それが全キャラクターにおいて発生していたと思っていただけたら。

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