クローズドシチュエーションといえば、ミステリー・サスペンスの世界では長く愛用されてきたテーマの1つ。疑心暗鬼に陥った登場人物たちの織りなす人間模様はもとより、限られた登場人物の誰かが犯人という状況は視聴者に「誰が犯人なのか」を考えさせる。
なかでも名作と呼び声高いタイトルの条件は、「視聴者にもすべての謎を解くヒントが開示されていること」。あとから見返したときに「この描写はこの手口を暗示していたのか」「言われてみれば、たしかにこのキャラクターが急に不審な動きをしていた」といった発見ができるのも、秀逸なサスペンスの楽しみ方といえるだろう。
「THE HEAD」シーズン1のカタルシスは言うまでもないが、シーズン2は最後の最後まで結末がわからないという構成に重きを置いていた。事件の犯人がわかり、動機も手口も明らかになったあと、それでもマギーという船上の事件とは別に動いていたキャラクターのおかげで、一貫して緊迫した空気が連続する。特にラスト6話冒頭「生存者は1名」という言葉は強力だった。スタッフロールが流れる直前まで「まだ終わりじゃない」と頭で理解させられているからだ。
こうした構成の妙によって、「ラストのどんでん返し」だけに頼らない上質さをも備えた「THE HEAD」。全話が公開されているいま、まだ見ていない人は一気に怒涛の物語を駆け抜けてみてほしい。
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