廣野凌大、はみ出し者に救いを求める人のために頑張る 型破りな魅力で模索する自身の存在意義

他人の価値観に触れられることが俳優業の楽しさ

廣野凌大撮影=梁瀬玉実


──コロナ禍で役者を辞めようと思ったことがあるということですが、『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stageに出演が決まって、俳優を続けることを選ばれました。そんな今の廣野さんが思う役者という仕事の魅力とは何ですか?

他人の価値観に触れられること。自分が他の人物を演じるのはもちろん、仲のいいやつが他の人物を演じることでも、いろいろな人格を見ることができるし、スタッフさんとの出会いもそう。いろいろな人が関わっている仕事だし、作品ごとに会う人が変わる中で、自分の価値観も変わるし、視野も広がる。役者って1ヶ月会わないだけで全然違う人間になるんですよね。自分もそう。それが楽しいなと思います。

──ご自身が今まで演じてきた役や作品の中で。特にご自身に影響を与えたものを挙げるなら?

波羅夷空却(『ヒプノシスマイク-Division Rap Battle-』Rule the Stage)とエドワード・エルリック(舞台『鋼の錬金術師』)ですね。といってもキャラクターのおかげというよりも、周りからの影響ですかね。そもそもキャラクターを作るのは自分じゃなくて周りだと思って演じているんです。自分は周りが作ってくれた世界で、それとして生きるだけ。

──ではカンパニーや役を通じての出会いによって、廣野さんに大きな影響を与えた2役ということになると思いますが、具体的に波羅夷空却とエドワード・エルリックからどのようなものを得たのかを教えていただけますか?

まずハガレンに関しては、石丸さち子さん(脚本・演出)と出会ったことで、演劇に対する考え方が変わりました。それまではもうちょっとちゃらんぽらんだったんですよ。「うん」というセリフ1つにしても、「うん」なのか「うーん」なのか、みたいなことしか考えていなかったけど、“何でここで「うん」と言ったのか?”から考えるようになった。繊細なシーンが多かったのもあって、セリフの大事さ、「何でここで、それを言うのか」を考えながら演じるようになりました。

──波羅夷空却については?

空却は、自分の役者人生にもう一度火をつけてくれた役。コロナ禍で役者を辞めようと思って最後に受けたオーディションがヒプステで、実際に空却を演じてみたら、ヒプノシスマイクというコンテンツ自体を好きでいるファンの方の熱さのおかげもあって、空却と一緒に自分の評判もあげてもらえた。そういう意味で、空却にもナゴヤ・ディビジョンにもめちゃくちゃ感謝しています。いろいろな人にも出会わせてもらったし、本当にいろいろな感情をもらった役なので、特に大事にしている役かもしれないですね。もちろん全部の役を大事にしていますけど。

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