小関裕太“蒼真”と田辺桃子“藤子”の奇妙な恋がついに決着、涙と笑顔で迎える2人の結末<癒やしのお隣さんには秘密がある>

2023/09/30 16:31 配信

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2人が選んだ結末


いつも柔らかく笑いかけ、そっと話を聞いてくれた蒼真。部屋一面へ写真を貼りだし、狂気的ともいえる言動を見せていた蒼真。そしてナイフを前でもためらわず駆け出し、藤子を守った蒼真。「どれが本当の仁科さん?」と心で自分に問いかけながらも、藤子の答えはすでに出ている。

翌日、藤子が蒼真の入院する病院へ向かうと、そこはすでにもぬけの殻。「仁科さんなら、先ほど退院されましたよ」と聞いた藤子は、残された時間が少ないことを察して駆け出す。しかし藤子が病院の外へ出たとき、蒼真はすでにタクシーで走り出したあと。蒼真は藤子からの電話着信画面を見ると、痛みに耐えるような表情を見せたうえで電話を取った。

改めて、思い出の丘の上で再会する2人。まず蒼真を巻き込んでしまった件を謝罪したあと、藤子は自分の心情をゆっくり吐露していく。蒼真と過ごすなかで見たさまざまな顔、交わした言葉を回想した藤子は、「あんなことがあったけど、好きだから…仁科さんが好きだからって気づいちゃったんです」と涙を流す。

蒼真も大粒の涙を落としながら、「藤子さん…好きです。初めて会ったときから、僕はずっと藤子さんのことが好きでした」と改めて告白。そしてその気持ちに気づいていながら、「守るため」と自分に言い訳をして向き合おうとしてこなかったことを認めた。「ちゃんと生まれ変わりたい。このままの僕ではダメだから」と宣言した蒼真だったが、「だからもう…」から先の言葉は涙に詰まって出てこない。

うつむく蒼真の手を、藤子がそっと握って語りかける。「頑張ってください。仁科さんのこと、応援しています…遠くからでも」蒼真の背中を押す言葉に、今度こそ蒼真は「藤子さん…ありがとうございました!」と澄み渡るような笑顔で答えることができた。

「お元気で」「仁科さんも」最後にそう言葉を交わすと、2人はすれ違う。もう振り返ることはない。高い空を見上げながら、自分たちの道を行くのだ。

1年後、藤子は精力的に仕事へ臨んでいた。頼まれた仕事に忙殺されていた頃とは違い、外回りに出るなどバリバリ仕事を楽しんでいるようす。実家の家計も安定してきて、後輩は結婚を果たし、何もかもが前に進んでいる。

あの頃と同じように、ベランダで1人ビール缶を開ける藤子。不意に、玄関をノックする音が聞こえる。玄関扉の覗き窓から見てみると、そこにはかっちりした見覚えのあるスーツ。息を飲んで扉を開けた先には、蒼真の優しい笑顔が…。

部屋を駆け抜ける風。藤子のタンスには、蒼真と藤子が笑顔で写真に収まっている。場所は思い出の丘。お弁当を手に笑顔を浮かべる2人は、もう奇妙なストーカーと被害者ではない。まったく普通の、どこにでもいるとびきり幸せそうなカップルの風景だった。