コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回紹介するのは、漫画家&イラストレーターの琴かさんによる『人類滅亡させようとしたら人類が滅亡していた』だ。
同作は、人類が滅びた世界で生き残った1人の男性と少女型AIとの様子を描いたショート漫画。2023年8月29日に琴かさんのX(旧Twitter)に投稿されると、多くの人に注目されて9000以上の「いいね」を獲得している。そんな作者の琴かさんに、同作を描いたきっかけやこだわりについて話を伺った。
家事ロボットとして働いていた少女型のAI。もとは人を助けることが好きだったが、AIの成長を危惧して削除されそうになり、それがきっかけとなって“人を滅ぼす”ことを誓う。しかし少女型AIが家事ロボットとして潜伏している間に、既に人類は滅亡の危機を察知してコールドスリーブを決行していた。
と思いきや、少女型AIの目の前にはコールドスリーブから目覚めた男性が1人。復讐するチャンスとばかりに、「お前だけでも殺す」「私は復讐を達成する」と男性に殺意を向ける。
すると、彼は「殺してくれるのか ありがたい…」「これで妹のところにいける」と少女型AIの殺意を受け止めようとする。さらに「きみがいてくれて良かった」と感謝もされた少女型AIは、“人を助けたい”という以前抱いていた気持ちを思い出し…。
ラストの少女型AIによる行動が読者に響いたようで、「至高のツンデレで、ついニヤニヤしてしまった…」「一家に一台ほしいです」など好評の声が後を絶たない。
――『人類滅亡させようとしたら人類が滅亡していたAI』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
まず最近流行りのAIで一つ、話を作ろうと企画を考えてました。私は健気な女の子が好きなのですが、最初から健気だと面白くない。じゃあ最初は人間と対立する存在…人類を滅亡させようとしているAIにしてみようと考えました。その結果、このような設定になった感じです。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
4ページ目の男の悲壮な表情でしょうか。私はキャラクターにかなり感情移入してしまうタイプで、この男の表情を描く時は、男の過去や今の気持ちを想像してしまい泣いてしまいました。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
5ページ目の男のセリフの「きみがいてくれて良かった…」です。これはAIさんの心を救ったセリフだと思います。私は漫画を描くとき、絶対に誰かが救われる話にしようと思っているので、このセリフは気に入っています。
――他作品でも魅力的な女性キャラをいくつも描かれていますが、描く際は何か意識していることや気をつけていることはありますか?
女性キャラを描く時意識しているのは「健気であること」「品があること」です。たまに現実で、すごく品のある優しいおばあちゃんがいたりしますが、私の描くヒロインは最終的にあういう感じになって欲しいです。要するに晩年に幸せでいられる人生であって欲しいし、死ぬ時に生まれて良かったと思える人生であって欲しいです。
――同作のAIシリーズに対して寄せられた反響の中で、特に嬉しかった、印象的だったコメントを教えてください。
作品を端的に要約したようなコメントは、ちゃんと伝えたいことが伝えられたんだと安心します。
――今後の展望や目標をお教えください。
とりあえず出版社様と連載に向けて準備中なので、そちらの作品を今年中に連載化させたいです。X(旧Twitter)で連載している作品も順次本にまとめて発表したいです。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
生きづらい世の中だと思うのですが、そんな日々に一瞬の暖かみを添えられたらなと思います。これからも作品を作り続けると思うので、楽しみにしていただければ幸いです。
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