日本でも、国民的アイドルになったモーニング娘。を生んだ「ASAYAN」(テレビ東京系)など、オーディション・サバイバル番組の歴史は古いが、ここ数年でその勢いが再燃。「Produce 101 JAPAN」シリーズからJO1やINI、「THE FIRST」からBE:FIRST、「&AUDITION - The Howling -」から&TEAM…など、次々と誕生したグループが成功している。
その中でも特筆すべきなのは、韓国の「4大芸能事務所」の1つであるJYPエンターテインメントと日本のソニーミュージックが組んだ「Nizi Project」。古くはRain、そして2PM、TWICEなどを手がけてきた名プロデューサーで自身もアーティストであるJ.Y. Parkが日本でオーディションを開催する事はK-POPファンにとって大ニュースだったが、お茶の間レベルでは当初、正直あまり話題になっていなかった。
だが、朝の情報番組『スッキリ』(日本テレビ系)で毎週特集を組んだ事でコロナ禍に在宅を強いられていた層の目に留まり、J.Y. Parkが参加者にかける言葉が視聴者にささりまくった事も相まって、口コミで注目度がジワジワ上昇。気づけば彼は一躍“時の人”となり、「上司にしたい有名人」にランクインしたり、芸人がモノマネしたり、と想定外の事態が起きた。
そして、番組から生まれた9人組ガールズグループ・NiziUは、プレデビュー曲の「Make you happy」がMV公開3日で2000万回再生突破、約2カ月後には1億回再生突破、振付の“縄跳びダンス”は大流行し、一気に国民的存在に。12月の正式デビュー前に「紅白歌合戦」初出場が決まった事も大きな話題となった。
現在、グローバル・ボーイズグループを輩出する「Nizi Project Season 2」が進行中だが、「Season 1」から共通しているのは、デビューメンバーを視聴者投票ではなく、J.Y. Parkが選ぶ、という点。そして、その基準は「ナチュラルさ」と、歌やダンスの実力以上に「人柄の良さ」を重視する事。実際、3次審査を通過した日本合宿参加者は、純朴な少年たちばかりだ。その等身大の姿は、見ていて微笑ましい。
J.Y. Parkは「謙虚さ」や「他人を思いやる心」「感謝の気持ち」を徹底して説いている。プロジェクトの審査中も「長所を持っている人よりスゴい人は、短所を直していける人」「上手くできる人より、上手くなりたいと思う人がもっと好き」など、態度や心構えを評価する言葉が次々に飛び出す。ここが他のオーディション・サバイバル番組と大きく違う点だ。
そして、相対評価ではなく絶対評価という事も関係しているのかもしれないが、参加者たちは自分より上手い者には素直に拍手を贈り、仲間同士助け合い、誰かが褒められれば自分の事のように喜ぶ。他の番組でたびたび見られるような、他人の才能を妬んだり、グループワークで激しく自己主張をして和を乱したり、というギスギスさは一切無い。そんなところが、視聴者も気持ちよく見守る事が出来て、心から応援できる理由だ。「Nizi Project」は、「家族全員で応援できるオーディション・プロジェクト」なのだ。
オーディション番組『Nizi Project Season 2』では、日本合宿から12名が韓国合宿へ進出し、デビューを賭けて本格的なレッスンと審査が始まる。その様子は「Part 2<完全版>」としてHuluにて独占配信中(毎週金曜夜10時配信)。
さらにダイジェスト特集は、朝のTV情報番組『Day Day』(日本テレビ系)で毎週水曜に放送中だ。また毎週土曜昼2時30分からは、毎話の内容を凝縮し、ヒロミとニジプロキャスター・森圭介(日本テレビアナウンサー)が参加者のパフォーマンスを実況をする『実況!ニジプロ2』(日本テレビほか)も放送中。
自分の友達や家族のような気持ちで、参加者と共に時に涙し、時に歓喜しながらデビューまでの道のりを見守りたい。
◆文=鳥居美保/構成=ザテレビジョン編集部
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