コンポーザー・Ayase、ボーカル・ikuraによる「小説を音楽にするユニット」YOASOBIの最新EP『THE BOOK 3』が4日にリリースされた。2021年より“読むCD”としてシリーズ化してきた『THE BOOK』3作目となる本作には、TVアニメ『【推しの子】』オープニング主題歌として書き下ろされ、Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で18週連続で総合首位を獲得、Billboard The Global Excl. U.S. top 10でも1位を獲得した「アイドル」をはじめ、10月クールTVアニメ「葬送のフリーレン」オープニングテーマの最新曲「勇者」、 島本理生・辻村深月・宮部みゆき・森絵都という4人の直木賞作家が原作小説を書き下ろし順次楽曲を発表していくプロジェクト『はじめての』から生まれた「ミスター」「好きだ」「海のまにまに」「セブンティーン」など珠玉の名曲が並ぶ。全楽曲の歌詞、楽曲を手がけるYOASOBIコンポーザーのAyaseに、本作や楽曲作りへの思いを聞いた。
ーー 『THE BOOK 3』について聞かせてください。 新曲の「勇者」を除いてはこれまでリリースしてきた曲が集まった形ですが、曲がそろっての印象はどんな感じでしたか?
僕にとっても、おそらくikuraにとっても『THE BOOK』は他のアーティストが普通に出すアルバムとは若干立ち位置が違っていて。この1年とか1年半の思い出をギュッと詰めました、YOASOBIの最近はこんな感じですみたいな、アーカイブをまとめましたっていう立ち位置なので。今現在完成してどうだというより、この先の未来で振り返ったときに『THE BOOK 3』の時ってこういうことがあったねというように、自分たちが振り返るときの目印になるような側面が強いかもしれないですね。
ーー 収録曲の中で、特にソングライターとしてのAyaseさんがターニングポイントになった曲だと感じられるものを挙げるならば、どうでしょうか?
まず「アイドル」は明確に一つの大きなターニングポイントになっているという気持ちはありますね。
ーー Ayaseさんが作って「これはイケる」と感じる曲って、やっぱりメロディーの強度が一番関係するのでしょうか?
完全にメロディーの強度ですね。アレンジもありますけども、基本的にはメロディーです。僕がメロディー宗派の人間なので。他の人の曲でもメロディーが良かったら、ボーカルが誰であれ、アレンジが何であれ、どんなジャンルであれ、好きになります。なので基本的に自信につながるものはメロディーですね。
ーー 新曲の「勇者」はTVアニメ『葬送のフリーレン』のオープニングテーマですが、どういう取っ掛かりから書き始めたんですか?
取っ掛かりで言うと、僕がそもそも『葬送のフリーレン』という原作漫画のファンなんです。それで、自分の中でイメージしているフリーレンたちの旅、勇者と共に旅したときの風景、キャラバンみたいなものと、『葬送のフリーレン』という作品全体の世界観を考えました。ちょっとエスニックな、かつ行進しているような空気感の音でどう表現しようかというところから考えていったので、世界観重視で作りました。
ーー スパイス的に入っているボーカルサンプルの音も効果的ですが、最初の段階からイメージにあったんでしょうか?
いや、ボーカルサンプルに関しては最初なかったんです。『勇者』って制作の裏話的に言うと、一回作り直しているんですよね。レコーディングして納品したんですけど、僕的にも山本(秀哉/ソニー・ミュージックエンタテインメント)的にもちょっと納得がいかなくて、これは練り直そうということになって。先方にご相談させていただいて作り直しました。その時にボイスサンプルとかを入れたんです。
――どういうところが納得いかなかったんでしょうか?
最初に作った時の感じが、ちょっと雰囲気を重視し過ぎて。それこそさっき言ったような楽曲の中での違和感みたいなものが特になかったというか。これじゃすっと通り過ぎられるかもしれないという感じが若干あった。それで、何かしら面白いことができないかなって考えました。もちろん第一稿で出したものも気に入っていたんですけれど、オープニングの映像を作ってもらう関係で納期が早かったんです。
それを提出してしばらくしてもう一回聴き直した時に「もうちょっとやれたな」って思っていたら、山本から「これ、ちょっとアレンジし直さない?」って言われたので、「今から巻き取れるんですか?」って訊いたら「相談するわ」というふうに言われて。各所にご迷惑をおかけしながら、もう一回アレンジで音の抜き差しをいろいろ試しました。
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