刺激的なタイトルが話題を呼んでいる住野よるの小説「君の膵臓をたべたい」。浜辺美波と北村匠海のW主演で映画化した本作がいよいよ7月28日(金)に公開される。小栗旬演じる教師の“僕”は、教え子と話すうちに、高校時代に出会った膵臓の病気を抱えた桜良(浜辺美波)のことを思い出していく。12年前、桜良の病気を偶然に知ってしまった“僕”(北村匠海)は、彼女が死ぬまでにやりたいことに付き合い、一緒の時を過ごしていく。だが、彼女の明るく懸命に生きる日々は終わりを告げ…。本作で、大人になった“僕”を演じた小栗旬と高校時代の“僕”を演じた北村匠海。過去の作品でも青年期を小栗、幼少期を北村が演じたりと縁深い2人が、「君の膵臓をたべたい」リレー連載最終回に登場です。
――お2人が会われるのはいつ以来ですか?
小栗旬「3月の初号試写ぶりですね」
北村匠海「試写の前に映画の制作打ち上げがあって、そこでもお会いしました」
小栗「うん、そうだね」
――完成した作品をご覧になって、どんな感想を持たれましたか?
小栗「本当にピュアな映画で。やっぱりそれは、主演の若い2人がすごく真摯に作品に向き合っている姿があるからだと思いました。自分が出ている映画なのに、本当に純粋に感動しちゃいましたね」
北村「僕も完成作を見て泣いてしまって…自分の出ている作品で人目を気にせず泣いてしまったのは初めてだったんですけど、19歳の今、自分の初主演作としてこのような作品に出会えたのがうれしくて。小学生のときに小栗さんと同じ役を演じさせていただいて、今回は自分の主演作でまた小栗さんとこうして同じ役を演じることができて…運命的な出会いだな、と感じる作品でした」
――小栗さんは北村さんご本人のイメージを意識して演じたと聞きました。完成作をご覧になり、北村さんの芝居をあらためてどう思われましたか?
小栗「この“僕”という役は、すごく難しい役だと思うんですよ。どこかで皮肉屋であり、高校生にも関わらず、ある種すごく達観している部分があって。それでいて、他人との距離感の取り方にも独特なものがある。自分からするとなかなか想像しがたいキャラクターというか。でも、『意外と今の高校生は、こういう子の方が多くなってるのかな?』とも感じつつ。それを演じるとなると、ちょっと演技過多になる可能性も大いにある役だと思うんですけど、そこのバランスを匠海くんは非常に上手く演じていて。自分が読んだ原作小説の“僕”というキャラクターにすごく近いイメージだったんです」
北村「そう言っていただけてすごくうれしいです。原作では描かれてない12年後を演じていらっしゃる小栗さんとは、撮影中、1度しかお会いすることができなくて。役についてのお話もする機会がなかった中で、同じ役を演じる難しさを感じましたし、『完成作にはどうリンクするんだろう?』とも思っていたんです。でも、元々は左利きの小栗さんが僕に合せて右利きに変えてくださった、というお話を聞いてすごくうれしかったですし、作品のどちらの時代を見ても“僕”という人間の軸がしっかりあって、同一人物に見えたんです。そこは本当に小栗さんが寄り添ってくださったからこそだなぁ、という感謝の気持ちがあります。ありがとうございます!」
――北村さんが“尊敬する人”として小栗さんのお名前を挙げていましたが。
北村「ご本人を目の前にして、恥ずかしいですけど(笑)」
小栗「(笑)」
北村「『TAJOMARU』(2009年)にはじまり、小栗さんが監督された『シュアリー・サムデイ』(2010年)という映画に出させていただいて、子供ながらに『カッコいいな!』と思った、その気持ちが今もずっと残っていて」
――今日は小栗さんへの質問も事前に考えてきてくださってますよね。
小栗「あ、そうなんだ?(笑)」
北村「はい(笑)。あの…また監督として映画を撮りたいですか?」
小栗「うん、撮りたいです。企画はずっと温めているんですけど、今は俳優の方が楽しくなってしまってるので。少し時間ができたら、もう一回やりたいな、と思ってるんですけど。やっぱり、自分たちが面白いと思うものをぶつけてみて、負けるなら負ける、勝つなら勝つの勝負にしていかないと、とは思っています。もちろん、『俳優がそんなことするべきじゃない』と考える方たちもいると思うんですけど。でも、別に決まった形なんていうものはないと思うから」
北村「僕は写真を撮ったり絵を描いたりするのが好きなんですけど、小栗さんのお話を伺って、監督業にも興味がわきました。小栗さんの監督作に出演させていただいた当時はまだ子供で無知だったし、『俳優の方も監督できるんだ!』という感覚だったんですけど、僕が小6のころの小栗さんぐらいの年齢になったとき、監督をしてみたいなと思いました」
小栗「やりたいと思ったことはやった方がいいよ」
北村「はい。お話を聞いてそういう思いがわいてくるという意味でも、小栗さんという存在は、僕の中ではすごく大きいです」
――幼いころから北村さんをご覧になっていて、特に今作ではどんな成長を感じられましたか?
小栗「本当に小さな子供のときに会っているので、『信長協奏曲』(2014年フジ系)で会ったときは純粋に、ただ単純に『わー! おっきくなったな~』というのが一番だったんですけど(笑)」
北村「(笑)」
小栗「今回共演して、やっぱり相変わらず人見知りではあるんだけど(笑)、でも、ちゃんと『俳優としてやっていくんだ』という思いが見えてきているので、頼もしいなぁと思いましたね」
――今後共演されるなら、どんな作品がいいですか?
北村「漠然としてますけど、同じ役というよりかは…こう…(言葉が出ず)」
小栗「(北村の意図を汲んで)絡みたいよな!(笑)」
北村「はい(笑)」
小栗「大体いつも、どちらかが出てるときはどちらかが出てない、という感じだったから。同じ役の匠海くんが幼少期、僕が青年期とかね。『信長協奏曲』ではちょこちょこっとは絡んだけど、そんなにガッツリと絡んでるわけではないから」
北村「そうなんですよね」
小栗「だから、次は何だろうね? あ! 『ひとつ屋根の下』みたいなのやりたいです!」
北村「ぜひ!」
大前多恵
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