ーー今年で活動30周年ですが、振り返るとどのような30年でしたか?
「駆け抜けてきた」という感じですね。20代の頃は始めたばかりで、最初の頃はうまくいかなかったんです。仕事も少なかったし、世に出るような作品には出られなかったです。有名な作品には縁がなくて、オーディションも受からないというのが続いて、20代中盤くらいからようやく仕事が増えました。分からないことだらけの中で、必死にやっていましたよ。30代になってから軌道に乗ってきて、作品やキャラクターとの出会いに恵まれて、楽しむことができるようになりました。その後40代になって、中堅になったなと感じるようになりましたね。がむしゃらにやってきて、少し前に50代になりましたけど、この30年はすごく内容のある30年だったなと思います。
ーー30年も活動を続けることができたのは何故でしょうか?
良くも悪くも落ち着かなかったからですかね。声優は常に戦い続けなきゃいけない職業だとは思うんですよ。安泰ってないじゃないですか。一見華やかに見えるかもしれないけど、挑み続けないといけなくて。だからこそ、続けられたのかなと思います。
ーーキャリアの中でターニングポイントがあれば教えてください。
『スクライド』(主人公・カズマ役)で声優をやっていた時ですね。『スクライド』は戦いの作品なんですけど、声優としても毎週戦っていたんですよ。ただ演じるだけではなくて、アフレコも毎回戦いなんです。それくらい、自分の中では挑んだ作品でした。ネアカなタイプではないので、20代は悩みながら仕事をしていたんですけど、『スクライド』の時期に吹っ切れましたね。それ以降は気持ちが楽になって楽しめました。
ーー『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』が2024年1月に劇場公開となります。約20年前の作品の続編を新作でやると聞いた時はいかがでしたか?
元々続編はやるって聞いていたんですけれど、5年くらい前に本当にやるっていう話を聞きました。僕はずっと待っていました。やるべきだと思っていたので、すぐにスイッチできましたね。
ーー声優さんが20年前のキャラをもう1回やるというケースはあまりないのでしょうか?
そうですね。でも、キラ・ヤマトに関しては、毎年なにかしらのガンダムのゲームで演じ続けています。「久しぶりに演じる」ではなく「常に一緒に過ごしてきた」感覚ですね。ただ、当時のキラを再現するのは難しいです。僕はあえて当時のキラ・ヤマトを再現するのではなく、今の僕の解釈で演技するように心がけています。
ーーガンダム作品でキラ・ヤマトを演じたことで、声優としてどのような影響がありましたか?
やはり、色々な方に自分のことを知ってもらえましたね。キラ・ヤマトを演じさせていただいて、こんなに幸せなことはないなと。今も、欠かせない存在ですね。一番長く演じ続けていますし、キラ・ヤマト役の保志総一朗って言ってもらえることを誇りに思っています。
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