長寿医療ドラマ「グレイズ・アナトミー」シーズン19の第3話が配信された。第3話では、今作から登場した新米研修医たちが先輩医師たちの手術に付いて経験を積み重ねるかたわら、ベイリー(チャンドラ・ウィルソン)や産婦人科医のアディソン(ケイト・ウォルシュ)らと共に、未成年者に向けた性教育の動画を作ることに。慣れない性教育という分野に四苦八苦する研修医たちの姿や、未成年者の妊娠をめぐる波乱の展開などが描かれた。また、研修医・シモーネ(アレクシス・フロイド)らのバックボーンなどが明らかになった。(以下、ネタバレを含みます)
同作はアメリカで2005年に放送開始。ドクターやレジデントたちが人生に起こるさまざまな出来事に翻弄(ほんろう)されながらも、笑いあり涙ありと全力で前向きに生きていく人間模様を描いた内容となっており、現時点で医療ドラマとしては全米史上最大のロングラン(シーズン数・エピソード数ともに)の大記録を打ち出している人気シリーズだ。
ただでさえ忙しい日々を送る研修医たちは浮かない顔をしながら、性教育動画作りのためにボランティアとして招かれた高校生たちを前に話を始める。しかし、台本を棒読みするだけの“退屈な講義”に高校生たちも飽き飽きしてしまう。
当初は高校生たちも講義に飽き飽きしていた様子だったが、ジュール(アデレード・ケイン)の“振り切った”講義の甲斐もあり、少しずつ学生たちも興味を示し、研修医たちの話にも耳を傾けるようになる。
確かに性に関する興味が旺盛な年頃の学生たちに対して行う授業であれば、学術的なものよりリアルで、実践的な内容のほうが興味を引くだろう。研修医たちや医師カップルが生き生きと“リアル”な講義をする姿には、学生ならずとも思わず興味津々になってしまうほどだった。今回のエピソードは“教材”として自分の子どもやパートナーに見せたいくらいだ。
現在アメリカ国内では中絶が認められている州と禁止されている州があり、望まない妊娠をしてしまった女性や中絶禁止を巡った社会問題が多発しているのが現実。今回のエピソードは、そういった事情を抱えるアメリカのドラマならではのテーマともいえる。
第3話ではその性教育の講義を受けに来ていた女子生徒が、一人で不安を抱えている様子が描かれ、結果的に自分が妊娠している事実を知って取り乱す姿も映し出された。
そんな中、一人の老婦人が「娘の出産祝いに来た」と産婦人科を訪れ、その場にいた研修医・ルーカス(ニコ・テルホ)が対応することに。娘の名前を聞いてカルテを調べてみると、“娘”とはシモーネの母のことであり、シモーネの母は彼女を出産した時に亡くなってしまったことを知る。慌てて祖母のもとにやってきたシモーネだったが、祖母は突然パニックになってしまい、焦ってしまった時に、メレディス(エレン・ポンピオ)が手を差し伸べる。
シモーネの祖母は認知症を患っており、自分のことをシモーネの母と勘違いしているのだとメレディスに打ち明け、またメレディスも自分の母が認知症で苦しめられていたことを彼女に話す。多くを語らずも、そっと後輩に寄り添うメレディスの姿が印象的なシーンだった。
一方で、メレディスの娘・ゾラ(アニエラ・ガムス)が度々起こす不安障害の発作の原因は、彼女が持つ特殊な能力による影響があるかもしれないということが明らかになる。ゾラが病院で母を待つ間、次々と難解なパズルをいとも簡単に解く姿を見たニック(スコット・スピードマン)らが、メレディスに「彼女はギフテッドかもしれない」と伝え、元々娘が秀才だと思っていたメレディスだったがまさかの発言に驚く場面も。
そして研修医たちは濃い一日を終え、体を張った講義を通してブルー(ハリー・シャム・Jr)とジュールが少しずつ距離が縮めたり、ルーカスとシモーネはお互いの“秘密”を共有したことで信頼関係を築き始めたりと、研修医たちの関係性にも動きが見えてきた。先輩医師たちも、自分のパートナーとの関係性を改めて再確認し、お互いに良い気付きを得た。
今回のストーリーで、日々一刻を争う医療現場と向き合いながらも、自分自身の内面とも向き合う医師たちの生活を少しだけ垣間見たような気がする。
「グレイズ・アナトミー シーズン19」は、ディズニープラスの「スター」で毎週水曜に新エピソードを独占配信中。
◆文=suzuki
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