コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、ヒロ・コトブキさんがX(旧Twitter)に投稿した『てのこのこ』をピックアップ。
作者のヒロ・コトブキさんが10月9日に本作をX(旧Twitter)に投稿したところ反響を呼び、1.4万以上の「いいね」が寄せられ話題を集めている。この記事では、ヒロ・コトブキさんにインタビューを行い、創作の裏側やこだわりについて語ってもらった。
少年ヒロカズの前に突然神が現れ「なんでもひとつ叶えたげるやー」と言ってきた。ヒロカズはつい慌ててしまい、手をのこぎりの刃にしてもらった。これにはお父ちゃんも「後先のことも考えずに!」と怒り、お母ちゃんも「あんたの手ぇ・・もう触れなくなるじゃないの」と泣いてしまった。
ヒロカズは暗い気持ちになり部屋にいると、お父ちゃんとお母ちゃんが優しい顔で「この板半分こにしたいんだけど・・」とかまぼこの板を出した。はじめて板を切るヒロカズを、お父ちゃんとお母ちゃんは大げさに応援してくれた。斜めに切ってしまったかまぼこの板にも、お母ちゃんは「最高の出来よ」と声をかけてくれた。お父ちゃんも「これからも世話になるよ」と。これにはヒロカズも、にこにこ笑顔になった。
それから3人で、便利なことと不便なことについてできるだけ明るく話し合い考えた。お父ちゃんは「なんだかこうして見ると便利なことコトの方が多いな」と笑ってくれた。ヒロカズはお父ちゃんとお母ちゃんの、僕を心配させまいと明るく振舞ってくれたやさしさを忘れないと思ったのであった。
ヒロカズの理解しがたい神への願いから、まさかの感動の終わりを迎えた本作。X(旧Twitter)上では、「なにで感動させられてるんだ…」「すげえ漫画だな」「優しい世界で心が温まる」など多くの反響を呼んでいる。
――「てのこのこ」を創作したきっかけや理由があればお教えください。
いつも思いつきで描きはじめるので、理由は特にないのですが、4コマ漫画として描き始めたのがきっかけでした。しかし骨組みだけだと(漫画内の)両親のとまどいややさしさが表現しきれないので数ページの作品になりました。
――「てのこのこ」の中で気に入っているシーンがありましたら、理由と共にお教えください。
「斜めに切っちゃった」と照れる子に、母が「そんなことない。最高よ」と返すシーンが好きです。受け入れてもらえることで、この子は自分を嫌いにならずにすんだろうなと感じました。
――ヒロ・コトブキさんの作品には様々な特徴の人物や生き物が登場しますが、特にお気に入りの登場人物や生き物がいましたら、理由と共にお教えください。
ひとり(や一匹)にしぼることはできませんが、生きづらい何かを持っている人が好きみたいです(たぶん僕もそうだから)。へこんでいたり出っ張っていたりするそのごつごつした部分、その面倒くささといじらしさこそが、僕の触れたいところであり、描きたいところだという感じが(今こうやって質問してもらったおかげで気づいたのですが)、しています。
――ヒロ・コトブキさんは、奇想天外なお話を多く描かれていますが、どこから着想を得ているのでしょうか。
『リアルの肌触りさえしっかりと残しておけば、見る人や読む人をとことんファンタジーな世界へと運ぶことができる』というのが、僕の思う『物語の好きなところ』です。そう考えると『ありえないのにありえる気がする』物語作りには、僕の触れてきた現実や実話と創作のぜんぶが長い時間をかけてうまいことこんがらがったり溶け合ったりしてくれているので、『なに』の『どこ』が『どの』部分を形成してくれているか自分でも分かってないです、ごめんなさい。(でも大前提としてフィクションでもノンフィクションでも言い切らないモノ・断定しないモノが好きです)答えになってないなぁ..。
――ヒロ・コトブキさんの今後の展望や目標をお教えください。
できるだけ長い時間、漫画や創作のことを考えていられますようにという願いがあります。脳みそのなかにある全部が、死ぬまでにしっかりと出しきれますように。 歯磨き粉やマヨネーズを使い切る時みたいに、振って振って『ブチュ!』っと、「もう出ないぞ」ってくらいまで絞り切れたらもう、最高の人生です。
――最後に作品を楽しみにしている読者の方へメッセージをお願いします。
読んでくださりありがとうございます。読んでもらえることで僕の落書きはようやく作品として輪郭を与えてもらっています。ありがたい言葉にもお返事が書けない時は、次の作品に時間を割くことで「ありがとう」を伝えているつもりです。これからも、してもいない約束事のようにがむしゃらに描き続けますので気が向いた時には覗いてやってください。
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