そんな大好きなところがたくさんある「フルーツバスケット」の舞台への出演が決まったときは、やっぱりうれしかったです。舞台の第一弾があって、今回第二弾の新規キャラクターとして出演させていただくということで、カンパニーのみなさんと仲良くなれるかな?という不安もあったんですけど、本当にみなさんすごく優しくて温かいんです。そんな不安は必要なかったな、と思うぐらい、稽古も毎日楽しかったですね。
そして、私が演じる依鈴ちゃんは午の物の化憑きで、悲しい過去がある女の子。それでも恋人のハル(草摩潑春・丑憑き)の呪いを解くために一生懸命です。依鈴ちゃんが生きてきた環境と感情は繊細に扱ってあげないと、きっと依鈴ちゃんが壊れるんじゃないかと思って、公演中も「どうしよう?」と悩みながら演じています。
依鈴ちゃんになる、と言うことがおこがましいぐらい、簡単じゃない人生を歩んでいる子なんですよね。依鈴ちゃんのわかりにくい不器用な優しさや愛情、そして彼女の言動の全てには意味があるということを理解しつつ、一つひとつ言葉を紡いでいけたらいいな、と思います。
十二支たちにとって神様に当たる存在として、草摩慊人がいます。依鈴ちゃんを演じることになって彼女の気持ちを考えながら改めてアニメを観ると、慊人がより一層憎くなりました。もともと慊人は好感度が上がらないキャラクターではあったんですけど、最後のある姿を観たら、読者としては「幸せでいてよね」と思えたんです。でも、依鈴ちゃんの視点で観ると、やっぱり幸せになるなんて許せないと思いましたし、のうのうと生きようとするな、と思ってしまったんですよね。
例えば、由希くんとかは慊人を許しているんですけど、十二支の中で許すことができないキャラクターがいてもいいよね、と思いましたし、その許せないと思ったキャラクターが依鈴ちゃんであっただけ。そんな依鈴ちゃんの気持ちも正しいから、その気持ちだけは私もちょっとお借りしたいという気持ちです。
だから、舞台上だと本当に慊人が怖くて憎いけど、舞台裏だと慊人を演じる彩凪翔さんと楽しくお話できるので(笑)、不思議だなと思います。
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