そして、脹相が使用した術式、赤血操術にも注目が集まる。赤血操術は第1期で高専京都校の加茂憲紀(CV.日野聡)も使用した、呪力を込めた自身の血液を自在に操る術式だ。遠距離では穿血、中距離では超新星、近距離では血刃、格闘戦では赤鱗躍動といったどの距離でも戦えるバランスの良さが強みの術式だ。また、円刃型の投擲技や鉤爪を作っての攻撃という原作にはなかったアニメオリジナルの追加技が赤血操術の万能さをより強調し、脹相はこれらを的確に繰り出して虎杖に手痛いダメージを負わせていく。この脹相の強さに視聴者も赤血操術の真価を理解したようで、「加茂家が門外不出にするのもわかるわ。正直舐めててゴメン」「お兄ちゃんだからだろうけど、赤血操術ってこんな強かったのか」「加茂君の赤血操術見てイマイチな技と思ってたの全面撤回」など、Xには驚きと絶句のコメントが続々と集まり、トレンドにも上がる勢いとなっていた。
前述した演出の上手さも含み、赤血操術の分かりやすさ、アクションの醍醐味があるこのバトルシーンには、アニメ化の良さがふんだんに詰まっている。原作からどの程度変えていくか、どの程度追加していくかは元作品の形やアニメ化の方針次第だが、期待を超えて、作品をさらに底上げしてくれるアニメ化はファンにとって嬉しいかぎりだ。このあたりには多くのファンが声を寄せており、「私の脳内で思い描いていた赤血操術の何倍もスタイリッシュだったアニメ化万歳」「脹相お兄ちゃんの赤血操術のレパートリーが大盛りになってて戦闘描写がめっちゃ良かった」「アニメの独特さと実写のような生っぽさをうまく組み合わせていて凄いと思う。いつもどこかにリアリティを感じる」など、歓喜のコメントも目立っていた。
激闘の末に敗れてしまった虎杖だが、脹相がトドメを刺そうとしたそのとき、彼の脳裏に九相図兄弟と虎杖とで仲睦まじくテーブルを囲む“存在しない記憶”が流れ出す。これは一体、何を意味する映像なのか。残された虎杖の下には夏油の仲間だった美々子、奈々子(ミミ、ナナ)も現れ、今話では描かれなかった冥冥(CV.三石琴乃)と特級呪霊の戦いの行方も気になるところだ。「渋谷事変」はまだ中盤に差し掛かったばかり。各所で起こる戦いがどう回収されていくのかに注目したい。
■文/鈴木康道
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