【漫画】人間と同じ食事がしたい吸血鬼…“下宿ごはん”に魅了されていくギャップある姿に「すごく繊細」「引き込まれる」の声

2023/11/03 10:00 配信

芸能一般 インタビュー コミック

人間の食事の美味しさを知った吸血鬼…緒崎カホさんの『夜さんの愛しの晩餐』が話題(C)緒崎カホ/KADOKAWA

コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、『夜さんの愛しの晩餐』(KADOKAWA)をピックアップ。

人間の“食事”に魅了された吸血鬼の物語を描く本作。8月19日に漫画家の緒崎カホさんがX(旧Twitter)に第1話を投稿したところ、繊細で美しい絵にも反響が集まり2.4万以上の「いいね」が寄せられた。この記事では作者である緒崎さんにインタビューを行い、創作の背景やこだわりについてを語ってもらった。

食前酒には“人の血”を、主菜には“人の食事”を 吸血鬼の不思議な日常を描く物語

『夜さんの愛しの晩餐』より(C)緒崎カホ/KADOKAWA


下宿「鳩村」に住み、普段は社会人として会社に勤めながら人知れず“吸血鬼”として生きる青年・陽岡夜(ひおかよる)。人の血でしか飢えを満たすことができない夜だったが、幼い頃から人間が行う“食事”に魅了され「人間と同じ食事がしたい」と密かに思っていた。それからというもの、夜はたびたび犯罪者や事件の容疑者を狙いその生き血を吸う。すべてはその後に人間の料理を美味しく食すため。しかし巷では未解決の“吸血鬼事件”が起こっているとして大きな話題となっていた。

一方、鳩村では管理人の園絵が毎日の献立を考え、入居者たちに料理を作っていた。しかしどれも美味しいと評判にもかかわらず、夜だけは朝食も夕飯も「要りません」と拒む。その様子から外でも十分に食事をとっていないのでは、と心配になった園絵は、その日の夕飯に夜の好物であるビーフシチューを作ることに。

会社からの帰り道、夜の携帯電話に園絵から料理の写真付きでメッセージが届く。それを見た夜はどうしてもビーフシチューが食べたくてたまらなくなるものの、人間の料理を美味しく食すためには苦手な“人の血”を先に食さなければならない。決意した夜は謎の人物からの電話での情報提供に「やるよ」と返事をし、ある犯罪者の元を訪ねて…。

人間の料理の美味しさを知った吸血鬼の欲望と葛藤を描く本作。シーンごとに展開される美しく繊細な絵と主人公の感情が溢れる食事シーンも話題を集め、X(旧Twitter)上では「切ない」「絵がとても綺麗」「すごく繊細」「思わず感情移入してしまう」「引き込まれるように読みました」「美味しいものを食べられるのは本当に幸せなことなんだなぁ」など多くのコメントが寄せられ、大きな反響を呼んでいる。

夜の気持ちを“表情”で描き分け 緒崎カホさんが語る創作の背景とこだわり

『夜さんの愛しの晩餐』より(C)緒崎カホ/KADOKAWA


――『夜さんの愛しの晩餐』を創作したきっかけや理由があれば教えて下さい。

はじめての「青騎士」さんでの連載ということで、今までとは雰囲気を変えた作品にしたいと思ったのがきっかけです。 自分が料理漫画を読むことが好きだったのでその分野にチャレンジしようと思ったのと、そこに自分の得意分野の「耽美」を合わせてみた感じです。

――人間の食事のおいしさを知った吸血鬼・夜のキャラクターはどのように生み出されたのでしょうか?

あまり「食事(生)」のイメージの無い吸血鬼を料理漫画に出してみたらどうなるかな?という部分から考えました。 食べるために人を襲う存在にするのならあえて怖くないというかかわいげのある性格の方が愛着を持ってもらえるかな?と、あと、クールで冷ための見た目の人が結構かわいかったりドジだったりするとすごく愛しいなと思って。

――本作では美しい料理や食事の描写とあわせて、夜の表情にあらわれる様々な感情がシーンごとに繊細に描き分けられていて印象的でした。作画の際のこだわりや「ここを見てほしい」というポイントがあれば教えてください。

吸血鬼としての夜さんはとことん怖く美しく、その分食事をしているときの表情は美しさというよりは子供っぽさやすこし情けなさを感じても「おいしい!」「うれしい!」の気持ちがわかるように表情を拘りました。

――本作の中で特に思い入れのあるシーンやセリフはありますか?

Xに投稿した1話の中ですと、夕食がビーフシチューだと知った夜の嬉しい顔からの吸血鬼としての夜へと変化する表情と雰囲気の変化を頑張りましたし、気に入っています。夜らしさを掴めたなと思ったところです。特に5話目の夜は吸血鬼としての本来の姿のイメージなので、怖くすごみが出るように頑張りました。

――作品の世界観をつくりあげ、物語を展開していくうえで緒崎カホさんがこだわっている点や特に意識している点はありますか?

少女漫画も少年漫画も青年漫画もBL漫画も好きなので、色々なジャンルの漫画から自分が良いと感じた要素をジャンルの垣根を気にせずに込めていきたいと思っています。 『夜さん~』では特に主人公の夜が裏表と緩急のあるキャラクターに出来たので、物語自体のテンションも明るさもあったり暗さもあったりと緩急が付けられてとても楽しかったので、今後の作品でも忘れないようにしていきたいです。 あとはどのような漫画でも「萌え」の心を忘れないようにしています!

―― 今後の展望や目標をお教えください。

ヤクザものの映画が好きなので、そういうテーマでも描いてみたいです。また、もっと絵と画面の構成を上手くなりたいので作画専門で頑張ってみたい気持ちもあります。ほかの方のネームで漫画を描くことでネームの描き方ストーリーの進め方も学べたらと…!少女漫画の繊細さもありつつ濃厚なストーリーが展開していく上にキャラクターも魅力的な漫画が描けるように頑張っていきたいです!

――最後に作品を楽しみにしている読者やファンの方へメッセージをお願いします。

読んでいただいてありがとうございます!!!『夜さん~』で出会った方がわたしのほかの作品も読んでいただけたり、そういうご縁を今作品からいただけたこと、とても嬉しいです。 これからもよろしくお願いします!