日本のBLファンも魅了した台湾ラブストーリー「正負之間~Plus & Minus」がもたらす極上の「ときめき」

2023/11/01 20:00 配信

ドラマ レビュー

“2組目のカップル”がもたらす相乗効果のときめき


本作には2組のカップルが登場する。幼なじみの弁護士のチェン・ゾーショウとフー・リーゴンのカップルと、親しくなっていくところから描かれる人気バーテンダーの加藤勇気とクリーニング店オーナーのジエン・インゾーのカップルだ。ラブストーリーでは1組目のカップルもさることながら、2組目のカップルに注目する人も多い。

通称「チェリまほ」で知られる人気作「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」ではサラリーマンの安達と黒沢の恋愛が描かれるが、安達の友だちの柘植と宅配業者の湊の恋愛も展開。また、シーズン2も好評を博した「みなと商事コインランドリー」でも年の差カップルの慎太郎と湊のほかに、慎太郎の同級生の明日香と塾講師の柊の恋愛が繰り広げられ、慎太郎&湊カップルに勝るとも劣らない人気を得ている。じっくりと描かれる主人公たちに対して、要所要所でチラチラと顔を出す登場人物の方も気になってきてしまうという視聴者は多い。

主人公たちより余白があるためにいろいろと妄想がはかどるということも言え、ラブストーリーファンにとって想像を掻き立てられるのは大きな吸引力となっている。人気バーテンダーの加藤勇気はどこかミステリアスな魅力があり、ちょっとした仕草や視線にジエン・インゾーがハートを掴まれるのも大いにうなずける。チェン・ゾーショウ&フー・リーゴンのカップルとはまた違う心の弾ませ方をしてくれる。2組目のカップルによって1組目のカップルの恋愛を新鮮に感じることができ、2組目のカップルの存在自体が、相乗効果でより大きなときめきを与えてくれる。

台湾ラブストーリーのヒットメイカーたちが手掛けた「正負之間~Plus & Minus」。幼なじみたちの恋愛はじれったくも切なく胸を締め付け、ひょんな出会いをした2組目のカップルは見る者の想像を掻き立てる萌えを与えてくれる。恋愛ドラマのスペシャリストたちによるタイプの違った胸のときめきが見る者に大きな充足感を与えてくれるのだろう。

◆構成・文=牧島史佳

「正負之間~Plus & Minus」より場面写真