彼のもう一つの魅力はその意外性だろう。工業高校出身で、ネジを愛し、構造物が好き。『笑っていいとも!』の「テレフォンショッキング」に出演した際は、タモリと延々、工業話に花を咲かせ、ほとんどそれだけでコーナーが終わってしまったほどだ。それだけなら、ちょっと変わった趣向があるなあというくらいだが、そうではない。脱げば筋肉隆々の肉体があらわれ、ダンスも得意なスポーツマン。その役柄ゆえ、内向きな人間だと思われがちだが、実はアクティブなタイプなのだ。ガチのEXILEファンでもある。そうしたパーソナリティが、幅広い演技につながっているのだろう。
『ケータイ捜査官7』の時、三池崇史に「10年後に窪田を選んだ理由がわかる。10年後に会おう」と言われた窪田正孝(実際には半年後に再会しているのだけど)。彼は10年を待つことなく、押しも押されもせぬ名俳優に成長した。その10年後は、来年訪れる。本当の意味で“再会”を果たし、「監督・三池崇史×主演・窪田正孝」の作品が作られるか否かは分からない。けれど、もし実現したらそれだけで「窪田くん!」と涙するだろう。そんな悦びのために僕らは見守り続けるのだ。
(文・てれびのスキマ)
◆てれびのスキマ=本名:戸部田誠(とべた・まこと) 1978年生まれ。テレビっ子。ライター。著書に『1989年のテレビっ子』、『タモリ学』、『有吉弘行のツイッターのフォロワーはなぜ300万人もいるのか』、『コントに捧げた内村光良の怒り』など多数。雑誌「週刊SPA!」「TV Bros.」、WEBメディア「日刊サイゾー」「cakes」などでテレビに関する連載も多数。今月より「月刊ザテレビジョン」にて、人気・話題の芸能人について考察する新連載「芸能百花」がスタート
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