じゅんは心療内科でカウンセラーをしているが、隣の席の同僚が電話で「三島さんのことで」と呼び出されたのを耳にして、思わず彼女のカウンセリングシートを盗み見た。すると、そこには「三島らん」と相談者の名前が。先日、同僚から、じゅんと全く同じパターンの相談者がやって来たことを聞いていたが、まさかそれが、らんだったとは。シートを読みながら、妹がとっくに自分と律の関係に気付いていたことを知り、じゅんは愕然となった。
全ては、らんの計画だった。じゅんに内緒で彼女の職場を訪れ、「妹の夫と関係を持ってしまった」と、じゅんの立場を自分に置き換えてカウンセリングを受けていたのだ。偽名を使わず本名だったのも、じゅんに気付かせるためだ。
じゅんは、同僚が相談者(らん)に「夫婦の関係は、簡単には壊れない」とアドバイスしたと言っていたのを思い出し、失ったものを取り戻せるのでは…と考えていた自分の浅はかさをかえりみて、やはり律を諦めなければ、と考え始める。そして、気持ちにけじめをつけるために、ずっと気になっていたこと、どうしてらんと浮気をしたのかを、思い切って律に尋ねた。
律から帰ってきた答えは「してないよ、浮気」。らんのうそだったことを、じゅんはやっと知った。じゅんは、らんに「律とホテルに行った」と聞かされ、律に怒りをぶつけた“あの日”が無かったら、今でも彼との関係が続いていたのでは…とずっと悔やみ続けていた。
あの日、律は家を出てじゅんと住もうと計画していることを知った母親と大げんかして、母親が自殺未遂を図ったために、じゅんを諦めるしかないのだと思い、彼女の誤解を解かずに別れを選んだのだ。それをじゅんは知らない。だから、らんのうそがなかったとしても、結局別れることになったかもしれないが、今のような気持ちを抱えることはなかったはずだ。そして、律がらんと結婚した経緯はまだ不明だが、“元カノの妹”と結婚した事実は、じゅんを大きく傷つけることは分かっていたはずだ。
じゅんは、らんが自分の大切な物を次々に奪っていったように律も奪ったことを知り、律はずっと自分のものだった、と確信した。さっきまでの「もう諦めよう」という気持ちはなくなり、「もう奪わせない」と決心し、律に激しいキスをした。その時、帰宅したらんの声が玄関から聞こえたが、じゅんは、やめるどころかさらに激しく律にキスをするのだった。
次回、じゅんとらんが遂に直接対決。泥沼化するのは避けられない。2人の間で律はどう振舞うのか。気持ちのベクトルはすでにじゅんに振り切れているが、時に極端な選択をしてまで自分を縛り付けてきた母親とらんが重なるのか、らんから逃れられない律。争いの元凶の彼が、これ以上どっちつかずの態度を取り続けるのは、更なる不幸を呼ぶだけだ。
※柳俊太郎の柳は正しくは「木へんに夘」
◆文=鳥居美保
この記事の関連情報はこちら(WEBサイト ザテレビジョン)