コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回取り上げるのは、漫画家の背川昇さんの作品である『こんな友達が欲しい』だ。
同作は“高校生の男子2人が手を繋ぐことにトライする”というショート漫画。2023年9月28日、背川さんが同作をX(旧Twitter)に投稿すると、8.5万件の「いいね」が寄せられて、さらに「男同士のスキンシップって新しくて面白い」「ラストで笑った」など好評の声も相次いだ。
作者である背川さんに話を伺い、同作を描いたきっかけやお気に入りの場面などを語ってもらった。
「女子同士で手ェ繋ぐやつ俺もやりてえ…」
高校生の男子2人のうち、片方が唐突にそう喋り始める。というのも彼は小学生の頃、会うたびに抱き着いてきた同級生と久しぶりに再会し、喜びのあまりに彼のほうから抱き着いたところ、ドン引きされてしまったそうだ。
その反応に納得がいかず、次第に“男同士でも手を繋ぎやすい風潮にしたい”と思い始めたため、まずは目の前にいる同級生と手をつないでみたいという発想に。早速試してみたものの、言いだしっぺの男子が恥ずかしくなり、すぐに断念。
その後、男子2人は高校に登校し、周りの生徒は彼らの姿を見てザワつき始めるのだった…。
――『こんな友達が欲しい』を創作したきっかけや理由があればお教えください。
当時は自分の中でジェンダーやフェミニズムに対する関心が高く、自分ならではの視点で何か描けないだろうかと考えていました。
結果、自分自身の忘れられない過去の経験(今作における回想シーン)と「男性同士のケア」というテーマがうまい具合に合致し、この漫画を描くに至りました。
――描いたうえで「こだわった点」あるいは「ここに注目してほしい!」というポイントがあれば教えてください。
男性同士で人目を気にせず気軽に手を繋げる社会になってほしいという意識で描いた以上、BL的な方向性に寄りすぎてはいけないと思い、手を繋いでいる2人の照れ顔からいやらしい雰囲気が出ないように心掛けました。自分の中では可愛くて微笑ましい良いバランスの表情が描けたかなと思っています。
――特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。
最後のオチの2コマがお気に入りです。
理想と現実のあいだの良い落とし所を見つけられて、このオチを思いついた瞬間に作品として完成した!と思えました。
――少し話が逸れますが、背川さんは作中のように友達と肩を組んだ思い出などはありますか?
友達でありませんが、デビュー作の『キャッチャー・イン・ザ・ライム』の連載開始当時、監修に入っていただいたラッパーの般若さんとR-指定さんに挟まれる形で肩を組んで、雑誌の記事に使うための写真を撮らせていただいた思い出があります。
我ながら場違いすぎて恥ずかしいので写真は見返せないのですが、お二人のいちファンとしてとても貴重な体験でした。
――同作に対してさまざまな反響があったと思いますが、特に印象に残っている・嬉しかったコメントを教えてください。
男性からの共感コメントはどれも嬉しかったのですが、たまに若そうな方から「自分たちの周りでは男性同士で手を繋ぐのは普通」というようなコメントがくることもあり、それは特に嬉しかったです。世の中の空気が良い方へ変わってきているのかもしれないと希望が持てました。
――今後の展望や目標をお教えください。
今回の作品のような、男性同士のゆるい繋がりをテーマにした作品をいつか何かしらの形で連載にできたらいいなとぼんやり考えています。
――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします!
SNSでの作品へのリアクションや感想など、本当に励みになっています。これからもよろしくお願いいたします!!
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