三浦涼介が舞台「呪術廻戦」と五条悟役を語る 今作では「“心”を伝えるお芝居をしっかりやれたら」

新しいお仕事の現場に行くとゼロに戻っちゃう

三浦涼介撮影=梁瀬玉実


──先ほど、年上からも年下からも学ぶことが多いというお話もありました。三浦さんはキャリアも長いですが、俳優としてのご自身の現在地をどう捉えていますか?

常に新人みたいな感じです。何回舞台に立っても、新しいお仕事の現場に行くとゼロに戻っちゃう。「今まで何を学んできたんだ!?」って思うくらい、わからなくなって悩んじゃいます。もっとちゃんとしろって自分でも思うんですけど、なかなか悩みがちで大変です。周りの方にはそれでよくご心配とご迷惑をおかけしてしまうんですが。

──逆に、毎回悩みながらも作品に出続ける理由、俳優業の面白さはどういったところに感じているのでしょうか?

お客さんの前に立って、何かしらのリアクションや温かい拍手を頂くと、全部チャラになっちゃうですよね。いつも「もう無理かもしれない」「こんな思いするの、もうしんどいな」って思うんだけど、また舞台に立っているんです、不思議ですけど。そこに自分の力は全くなくて、助けてくださる周りの方や応援してくださる方の存在があって立てているんだと思います。

──では「今後こういう俳優になっていきたい」「こういう作品に出たい」という今後の目標のようなものはありますか?

夢というか「これは絶対にやりたい」とか「この演出家さん、この役者さんとお仕事してみたい」とか、そういうものをひとつずつ叶えてきて。今は、自分が小さい頃から出てみたかった舞台があって、それを叶えるのにちょっと一生懸命になっています。

──「小さい頃から出てみたかった舞台」というのは何か、は聞かないほうがいいですかね。

そうですね、秘密にさせてください(笑)。夢は常に持っているので、それに向かって小さなことでも一歩一歩、着実に進んでいければいいかなと思っています。

三浦涼介撮影=梁瀬玉実


夢や目標を見つけるきっかけは“嫉妬”


──「夢は常に持っている」とのことですが、次の夢や目標を見つけるきっかけはどういうことが多いですか?

嫉妬でしょうか。嫉妬した瞬間に夢が生まれる感覚があります。「この人が持っているもの、俺も欲しいな」って。この業界に入ったときからずっとそうだったと思います。何の根拠もないのに「この人ができるなら俺もできるだろう」という気持ちになっちゃって。そんなわけないんですけどね、皆さん努力して実現されているので。でも僕も自然とその道を歩んできたんだと思います。他の人が1年でできたことが、僕は5年かかってもいい。どれだけ時間がかかってもいいから、「やっぱりそこに行きたい」「最終的にこの人が持っているもの全部欲しい」という、嫉妬心みたいなものに突き動かされている気がします。

──今も、周りの俳優さんに対して嫉妬心を抱くことはありますか?

少なからずあると思います。嫉妬心は「憧れ」とも言い換えられると思うんですけど。だから人と違うことを探して、僕にしかできないことをしようとしているんだと思います。

──ちなみに、「夢は一通り叶えてしまった」とおっしゃっていましたが、夢を叶えていくと、同時にどんどんモチベーションも下がっていってしまうと思うのですが、そこはどうやって保っているのでしょう?

保たないようにしています。「モチベーションを保とう」というのはあまり考えないようにして、なるようにしかならないんだろう」と思いつつ進めている部分も。「夢叶えちゃって、次はどうしよう」って思うときは「どうしようかな」と思っていたらいいし、「今日は全然気分が乗らないな」っていう日はそれでいいのかなって。自分でハードルを上げ過ぎると辛くなるので、流れに身を任すように生きていると、ちょっと楽になれると思います。

■取材・文/小林千絵
撮影/梁瀬玉実

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