ちょっと変わったところだと、幅広い層に人気のアニメ「カーズ」の主人公ライトニング・マックィーン役。これが初めての声優作品となったが、マックィーンの決めゼリフとなっている“カチャウ!”はオーウェン・ウィルソンの発案。このシリーズの声優を楽しみながら演じていたのが分かるエピソードの一つだ。
ある時期まで軽めの役だったりコメディーの印象が強かったりしたが、2011年公開のウディ・アレン監督の「ミッドナイト・イン・パリ」や2017年の「ワンダー 君は太陽」などを見ると、幅広いジャンルに対応できる俳優だということが分かる。「ミッドナイト―」は、ハリウッドで脚本家として成功を収めながら、小説家を目指しているギル・ペンダーという役を演じた。まさにウディ・アレン自身を写したような役で、苦悩する姿、鬱屈した雰囲気を見せ、心の動きを繊細に演じている。ちなみに、この作品にロキ役のトム・ヒドルストンも作家のF・スコット・フィッツジェラルド役で出演している。
「ワンダー 君は太陽」では、遺伝子疾患で変形した顔を持つ息子を励ましながら明るく育てていく父親を演じた。愛情深く、人間味のある役を演じ、また一つ俳優としての違う一面が感じられる作品でもあった。
2021年、オリジナルドラマ「ロキ」でMCU作品に初参加。これまでの出演作を知っている人は“メビウス”を演じる姿に驚いたのではないだろうか。見た目やキャラなど、これまで演じてきた役と全然違っていて、ここに来て新しい一面を出してきたことに驚いたはず。かと思えば、配信されたばかりの「ホーンテッドマンション」では調子の良過ぎる神父“ケント”を演じ、「カールの絵画教室」ではアフロヘアのカールのコミカルさと悲哀を表現し、彼らしさをしっかり感じさせてくれてている。
さて、「ロキ」シーズン2は次回で最終話。続きが気になるところで第5話は終わってしまったが、メビウスも物語の重要なピースの一つ。結末とともに最終話で彼がどんな演技を見せてくれるのかも楽しみに待ちたい。
「ロキ」シーズン2は、ディズニープラスで毎週金曜に最新話独占配信中。最終話は11月10日(金)に配信となる。
◆文=田中隆信
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